「日本はOpenFlowへの関心が非常に高い」と推進団体・ピット氏
ネットワークの仮想化を推進するOpen Networking Foundationのダン・ピット エグゼクティブディレクターが来日。SDN(Software-Defined Networking)への取り組み状況を説明した。
「将来のネットワークは全てSDN(Software-Defined Networking)ベースになるとわれわれは確信している」――ネットワークの仮想化を推進する「Open Networking Foundation」(ONF)は6月11日、ダン・ピット エグゼクティブディレクターの来日に合わせて記者会見を開催。SDN普及に向けての取り組み状況について報告した。
同団体が推進するSDNとは、ネットワークをソフトウェアで制御するという構想である。従来のネットワークでは物理スイッチの構成変更によって設定が行われていたが、SDNなら物理スイッチの構成を変えることなく、ソフトウェアのプログラミングによって設定を変更できる。そのため、ユーザーが新しい機器をネットワークに簡単に追加したり、ネットワーク全体の構成を管理しやすくなるといったメリットがあるとされている。
ONFは2011年に発足して以来、SDNを実現するための標準技術として注目されているプロトコル「OpenFlow」の普及を目指して活動している。現在、米Googleや米Facebook、米Yahoo!、NTTコミュニケーションズなどをはじめとするユーザー企業9社を委員会として、市場への啓もう活動や、同団体に参加するメンバー企業の選定などを行っているという。
ネットワークベンダーは同団体にメンバーとして参加すれば、OpenFlow関連の知的財産権を無償で共有できるなどのメリットがある。メンバー企業は現在、米Cisco Systemsや米Brocade Communications Systemsをはじめとする71社。日本からも富士通や日立、NECなどが参加している。
6月13〜15日に開かれる「Interop Tokyo 2012」(幕張メッセ)のために来日したピット氏は「日本はOpenFlowに対する関心が非常に高い」と話す。「われわれはシリコンバレーを拠点にしているが、今週日本に来たのは、日本でもOpenFlowへの取り組みが本格化しつつあるからだ」
実際NECでは、OpenFlowを利用したネットワークソリューション「プログラマブルフロー」を販売している。同ソリューションは、ネットワークフローを実際に処理する「スイッチ」と、スイッチにどのような処理を行わせるかを指示する「コントローラ」を分離することで、プログラミングによるネットワーク設定変更を可能にするというもの。販売開始から約1年で、日本通運や米スタンフォード大学、金沢大学付属病院、国内大手キャリアや国内大手銀行などに対し、合計100台以上の対応製品を納入したという。
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