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アジアのITハブとなれ 自らデータセンター設立に乗り出す沖縄県:沖縄のIT産業政策トップが語る(2/2 ページ)
沖縄県は今後10年間の新たな振興計画を示した「沖縄21世紀ビジョン基本計画」を策定。インフラ基盤強化をIT産業の目玉事業の1つに位置付ける。
沖縄のITインフラ基盤がアジア展開を後押し
なぜ沖縄がデータセンターを中心としたITインフラ基盤の強化に注力するのか。上述したように、東日本大震災以降、事業継続やリスク分散に対する国内企業の意識が高まり、バックアップ拠点として沖縄へのデータ移管が進んでいるというニーズの高まりに加え、もう1つの大きな理由が「アジアとの連携」である。
日本の産業全体を考えたとき、新たな市場としてのアジアを見据えた動きは今後も引き続き不可欠であろう。多くの日本企業がアジア展開を推し進める今、その取り組みを支えるプラットフォームとして、沖縄が構築するITインフラ基盤は大いに活躍の場があるとみられる。
例えば、アジアに進出する日本企業の現地法人はコスト面や効率性などの理由から、これまで現地のデータセンターを活用することが多かったものの、保管するデータの安全性やサービスレベルの低下など、さまざまなリスクに悩む企業も少なくなかった。日本国内でありながらアジア諸国にもほど近いという地の利を生かした沖縄のデータセンターは、そうした課題を解決し、アジアでビジネス展開する企業を下支えするという。
小嶺氏は今後のIT産業振興の方向性について、「アジア有数のITハブとして、沖縄は企業連携、情報、人材育成の拠点になるべきだ。国内外企業の誘致と県内IT産業の成長施策、両者の連携強化などによって、10年後には5万5000人の雇用と、生産額5800億円規模の産業を目指す」と力を込めた。
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