アライドら5社、「オフィス環境向けSDNソリューション」で連携(2/2 ページ)
アライドテレシスがオフィス環境向けのSDNソリューションを発表。データセンターやクラウド分野で採用が進むSDNを、人事系やIT資産システムなど企業内ITの効率化を目指すための新たな方向性を打ち出した。トレンドマイクロらパートナー4社と連携して取り組む。
企業のためのSDNソリューションを目指す
具体的に何ができるか。各社のハードウェアとソフトウェアがOpenFlowプロトコルを軸に連携することで、企業内ITシステム個別で行っていた「アクセス制御」「セキュリティ統制」「ふるまい検知と後処理」の自動化が実現できる。
例えば、人事情報に沿って、社員のデバイスのアクセス権限やセキュリティポリシーを自動設定する、「外出先からのアクセス」「別拠点活動時」など、それぞれをつなげばポリシーを都度自動適用する、OSやソフトウェアのリスク情報を識別した自動隔離を行う、BYODやモバイル業務での利用ポリシーを自動制御する、シャドーITをはじめとするデバイスリスクを自動で排除する、マルウェア感染やネットワーク上の不正な振るまいを監視・検知した情報からデバイスや通信を自動隔離/自動遮断する──。こういった、これまでIT管理者や人事担当者が手動で個別に行っていた作業、そして単体のソリューションでは困難だった「事前対策から、事後対策まで」の対処の多くをOpenFlowプロトコルを用いて連携し、自動化する。これにより企業のネットワーク管理や事務処理管理の工数を減らしてコストを削減、かつセキュリティレベルの維持・強化につながるという考えだ。
トレンドマイクロはネットワーク上の脅威を解析する「Deep Discovery Inspector」をSecure Enterprise SDN Solutionと連携させる。コアスイッチのスニッファ情報を常時監視し、パケットの異常を検知する機能から一歩進み、Secure Enterprise SDN Solutionでは、SDNコントローラのOmniSphereへ検知情報を通知→情報に応じて、OmniSphereが各エッジスイッチのフロールールを書き換える→異常通信を検知した機器を隔離する、こんな流れを自動制御できるようになる。
ターゲットは、マルチテナントビルや工場、複数の拠点を持つ従業員数500人以上の企業、このほか自治体、文教、医療分野への訴求を強め、2015年に50社10億円、2017年に50億円の売上を目指す。販売は2015年2Qより。「あくまで参考だが、500人規模の企業においてハードウェアで約1500万円、ソフトウェアで約1000万円、3〜5年のトータルコストで2000万〜3000万円ほどのイメージ。管理工数の削減、セキュリティの強化、モバイル対応、設備投資費の軽減、かなりのコストメリットがあると思う」(アライドテレシス プロダクトマーケティング部の中島豊氏)
「データセンターで培われたSDN、OpenFlowプロトコルの技術を“オフィス環境市場”へ適用するのが狙い。SDNはこれまでデータセンター分野でサーバとの連携性を意識していたと思うが、オフィス業務システムとの連携にも大きな効果があると思っていた。当社はネットワーク機器ベンダーだが、当然1社だけでは進められない。企業向け製品メーカーによる、企業のためのSDNソリューションとは何か。Secure Enterprise SDN Solutionは、ネットワークデバイス、SDNコントローラ、人事管理システム、IT資産管理システム、セキュリティ対策など、企業向けソリューションを提供するパートナーと連携したアライアンスである。今後、コンソーシアム化やAPI標準化も目指す。これ以外の各サービスベンダーとのオフィス向け連携ソリューションパッケージを順次発表する予定。基本機能連携+カスタマイズで、各企業、法人のニーズに合わせたかたちで提供していく」(アライドテレシス取締役の川北潤氏)
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