Office 365の“OEM供給”に乗り出したMicrosoftの思惑:Weekly Memo(2/2 ページ)
Microsoftがこれまで自社データセンターから提供してきた法人向けクラウドサービス“Office 365”の「OEM供給」に乗り出した。同社の新たなクラウド戦略として注目される。
MicrosoftはOffice 365の“OEM供給”を拡大するか
両社の提携強化を機に注目したいのは、これまで自社のデータセンターから提供してきたOffice 365を、提携企業のデータセンターからも提供する形の“OEM供給”に乗り出したMicrosoftの思惑だ。
Microsoftをはじめとしてクラウドサービスプロバイダが自社データセンターでの運営にこだわるのは、サービス自体の事業規模を拡大して経済性を追求するとともに、最新技術を迅速に適用できる点にある。
それともう1つ、ビジネスの観点から大きいことがある。とりわけパブリッククラウドならではの特徴で、顧客のデータを自社のデータセンターで管理することで、顧客と直接コンタクトを持てるようになる点だ。すなわち“顧客の囲い込み”をガッチリできるわけである。
今回、MicrosoftがHPにOffice 365の運営を委ねたのは、そうしたこだわり以上に、エンタープライズクラスの企業ニーズに応えることを優先したからだろう。ただ、筆者にはHPのケースが例外だとは思えない。
というのは、MicrosoftにとってOffice 365は、かつてOfficeがPCへのバンドルやパッケージ利用においてそうであったように、競合サービスと比べて圧倒的なシェアを獲得することが至上命題になっているからだ。そのためには、グローバルでデータセンターを展開し、技術力があって競合サービスを持たないクラウドサービスプロバイダとなら、今後も“OEM契約”を結ぶ可能性があるのではないか。
その点について、日本マイクロソフトが12月16日に開いた「Office 365の日本データセンターからの提供開始に関する記者説明会」の後、同社 執行役専務マーケティング&オペレーションズ担当の平野拓也氏に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「HPとの提携強化は、Office 365を普及拡大させていくための1つのビジネスモデルであることは確かだ。ただ、同じ手法を今後スケールアウトしていくかどうかは未定。とはいえ、どこのデータセンターを利用するかは別として、パートナー企業からは主体的に事業を進めたいという強い要望をいただいているので、お客様との関係において十分な配慮を心かけている」(平野氏)
日本でのOffice 365の利用環境は、先日の記者会見の通り日本マイクロソフトが国内データセンターで運営を始めたばかり。“OEM供給”は先のことだろうが、クラウドサービスが広がっていくにつれ、将来的にはあり得る話だ。その意味でもMicrosoftのOffice 365におけるグローバル展開には、引き続き注目しておきたい。
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