本部と店舗の“溝”を埋める――レンタル大手「ゲオ」が採用した、店舗支援クラウドとは?
中古品市場の伸びとともに大きく成長したレンタルショップ大手の「ゲオ」。店舗数の急激な増加に伴い、本部と各店舗間のコミュニケーションが滞り始めたという。この課題を解決したのは、とあるクラウドサービスだった。
古着や書籍、CD/DVD、家具といった中古品市場が注目を集めている。消費増税などによる消費者意識の変化に加え、オンラインとオフラインの両面でリユース品を取り扱う店舗が増えたことが背景にある。
レンタルショップ大手の「ゲオショップ」を展開するゲオホールディングス(ゲオHD)も、このリユース市場に参入してから業績が堅調に推移している。衣服を扱う「ジャンブルストア」や、家電と家具、趣味用品まで幅広く取り扱う「セカンドストリート」などのリユースショップを全国で約400店舗展開。これに伴いグループ全体の店舗数も増え、直営店だけで1300を超える規模にまで成長した。
しかし、同社は店舗網を拡大していく中で、本部と店舗間の連携がうまくいかないという課題が出てきたという。両者の連絡にはグループウェアやメールを使っていたが、本部からの情報や業務指示、店舗間の情報交換など、月あたり500通を超える情報が各店舗に届くようになり“情報を把握できない”という状況に陥っていた。
店舗への指示の優先順位が“分からない”
同社がこれまで利用していたグループウェアでは、情報の一斉配信や閲覧確認はできたものの、指示に対応したかといった情報は確認できず、大量のメールが発信されることになり、重要度や緊急度が高い情報が埋もれてしまうという問題があった。結果的に、店舗の業務で抜け漏れが生じてもカバーできないケースもあったそうだ。
ゲオ店舗運営支援部 店舗運営支援課の谷岡征一さんも「各情報のスケジュール管理ができず、情報が受信した順番に時系列で並んでしまい、優先順位が把握できないことも問題でした」と語る。
新たなシステムを探し始めたのは2014年5月ごろ。「全体的な業務改善の流れのなかで検討を始めました」(谷岡さん)という。「配信された指示の作業内容をいつ行うのかがすぐに分かる」こと、そして「実施した作業の結果をエリアマネージャーがリアルタイムで確認できる」こと。この2つを必須要件としてサービスを探し始めた。
さまざまなクラウドベースのコラボレーション、コミュニケーション系サービスを検討した結果、同社が選んだのはドリーム・アーツの「Shopらん」だった。「本部と店舗間の情報伝達にこだわって機能が開発されている点や、多店舗展開に対応している点が決め手となりました」(谷岡さん)という。このほか、豊富な導入実績やクラウド型サービスで定期的に機能拡張がある点も評価したそうだ。
情報の「一元化+可視化」で“コミュニケーション難”を解消
約2カ月のテストを経て、2014年10月に導入を決定。11月から各店舗への導入を始め、12月には全国1300店を超える直営店すべてで利用を開始した。Shopらんを導入したことで、業務の管理がしやすくなったほか、業務効率が大きく向上したという。
「業務の実施状況が可視化できたことで、エリアマネージャーの確認作業が大幅に減少し、本来のマネジメント業務に専念することができるようになりました。彼らが店舗ごとにピンポイントな指導ができるようになったほか、本部からの指導もしやすくなりました。情報が一元化されているので、他地域のマネージャーの指示なども見て参考にできるようになったことも大きいですね」(谷岡さん)
また、これまでエリアマネジャーが仲介していた各店舗のアンケートの収集を、Shopらんのアンケート機能を活用して本部が直接行うといった、業務の変化も起こったそうだ。今後はさらにエリアマネージャーの負担軽減を進めていく予定という。
「現状、管理業務として発生する、店舗からの情報の取りまとめは“本部→エリアマネージャー→店舗”というフローで行っており、中間の取りまとめのためだけにエリアマネージャーを使っているという状況です。Shopらんのアンケート回答機能を使えば、本部の担当者対1400店舗でも十分に情報の取りまとめが可能となり、エリアマネージャーの業務負担が軽減されるでしょう」(谷岡さん)
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