震災から4年、福島で活躍する“復興支援員”を助けたITのチカラ:まだ復興は終わっていない(2/2 ページ)
東日本大震災から4年。帰宅困難区域に住む人々は、今もふるさとを離れて全国各地で暮らしている。各地に散った住民の心をつなぎ、地域活性へとつなげていく――そんな活動を行う団体「ふたさぽ」がある。彼らが直面した課題とそれを救ったITツールとは。
埼玉と福島のメンバーでプロジェクトチームを組む
ふたさぽが「Office 365」を導入したのは、RCF復興支援チームとマイクロソフトが長期的なパートナー関係であったという背景とともに、サービスの検討を始めたタイミングで、同社がOffice 365の非営利団体向けの提供プログラムを開始し(2013年10月から)、基本機能を無料で利用できたことも大きなポイントになったという。
「非営利型の団体は、やはりお金の面での“体力”は少ないですからね。無料でツールが使えるというのはありがたい話でした。ふたさぽは保育士出身の人など、コミュニケーションに長けた人が集まっていると自負していますが、ITのリテラシーはさまざまです。なので、普段使い慣れているツール(ワードやエクセル)で使えるところも大事でした」(小林さん)
メンバー全員に集まってもらって、パスワードなどのシステムを一斉に設定した際はやや苦労したものの、クラウドサービスであるため、その後の運用は楽に行えているそうだ。ふたさぽでは、Office 365で予定や資料の共有、そしてオンライン会議サービス「Lync」を使った打ち合わせなどを行っている。
「今、ふたさぽでは“若い人の意見をどう反映させるか”というプロジェクトチームを組んでいます。4人のメンバーはそれぞれ郡山といわき、埼玉と離れた場所にいますが、お互いの予定を共有して、空き時間に打ち合わせを設定、そしてオンラインで資料を共同編集しながら会議を行うといった働き方ができるようになりました。会議が終わった後に、そのままローカルで資料の確認作業が行えるのもよい点です」(小林さん)
復興は新たなステージに 人と地域をつなげる仕組みを
Office 365を使った情報共有は、今のところふたさぽのチーム内に留まっているが、ゆくゆくは役場の人たちとも情報共有を進めていきたい考えだ。もちろん、その状態にたどり着くまでにはカベもある。
「役所の場合は、最終的に報告書を紙で出力する規則があるなど、紙を使う機会が非常に多いです。フォーマットを合わせる必要があるため、『Office』が求められる点はありますね。この仕事は、住民のほかにも各避難場所の役場や政府など、とにかくステークホルダーが多い。そのため、誰にでも分かりやすく、使いやすいことが重要になります。その領域にクラウドが踏み込んでいけるかというのが、今後のポイントになるでしょう」(小林さん)
被災地域で復興支援員として働くのはふたさぽだけではなく、さまざまな団体がある。震災から4年が経過し、被災地域以外では情報を得ることが少なくなっているが、復興やケアについては、むしろこれからが本番だろう。住民の避難や仮設住宅など施策が整いつつある今、地域が本当に“立ち直る”ために何をするべきか。復興支援員の彼らがそのカギを握るのかもしれない。
「たとえ離れた地域にいようと、住民の考えを組み合わせると今までになかった素晴らしいアイデアが出てくることを実感しています。地域活性のきっかけを作って、復興を促すため、これからもさまざまな面で双葉町を“つなげていくこと”を目標に活動を進めていくつもりです」(小林さん)
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