業務効率化につながる「法人番号」の可能性:マイナンバー・企業の対応と注意点(3/3 ページ)
国民に通知される「個人番号(マイナンバー)」と同時に、企業などには「法人番号」が通知されます。「法人番号」は様々な利活用が検討されていますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
基本情報を取得する便利な機能
国税庁から提供される法人番号公表システムは、企業が法人情報を利用する上で便利な機能が数多く提供されます(図3参照)。
1.柔軟な検索・閲覧
検索機能では取引先の法人番号や、法人番号に該当する企業の名称や所在地が分からない場合、法人番号、商号または名称、所在地など条件を指定して検索できます。正式な商号や名称が分からない場合でも、部分一致検索や表現のゆらぎによるあいまい検索にも対応した便利な検索機能が提供される予定です。
さらに、法人等の名称や所在地は変更されることがあるため、利用者が過去の名称や所在地で検索するケースが想定されます。そんな時に便利なのが、検索条件に変更履歴を含めることで商号や所在地が変更された法人の情報を、過去の商号や所在地で検索できる機能です(ただし、法人番号導入前の変更は対象外です)。
2.データのダウンロード
多数の法人情報を取り扱う企業にとって便利な機能が、機械判読可能なファイル形式でのダウンロード機能です。企業はこの機能を使ってデータを自社の情報システムに取りこみ、既存のデータに機械的に法人番号を付番したり、情報を更新したりするために使うことができます。
ダウンロードできる情報は公表されているすべての法人等の月末時点の最新情報や、日次の差分データ(新規、変更、閉鎖)、そして法人等の変更履歴の情報で、ファイル形式は機械判読可能なCSVやXML形式となります。また、利用者のネットワークの速度に課題がある場合などを考慮して、公表されている情報の全件データをDVD等の情報記録媒体でも入手できる予定です。
3.Web-APIも提供
企業が法人等の3情報をさらに簡単に取得できるようにするためにWeb-APIの機能が提供されます。これは企業が自社のシステムやサービスの一部機能として、リクエストに応じた3情報を呼び出し利用することができる機能です。
これによって企業は、自社のシステムから指定したリクエスト条件を法人番号公表システムに送信することで、法人番号を指定した法人等の3情報の取得や期間を指定した差分データの取得ができます。
ここまで2回にわたって法人番号に関する対応や活用について解説してきました。法人番号は個人番号と異なり、上述した以外の様々な利活用が検討されています。法人番号公表機能にかかわる仕様は国税庁のWebサイトにも公開されているので、ぜひ一度確認することをお勧めします。
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