「BIソフト無料」を打ち出したマイクロソフトの意図:Weekly Memo(1/2 ページ)
日本マイクロソフトがビッグデータ活用の促進に向け、無料のBIソフトとクラウドを組み合わせたサービスを発表した。この分野の新たなビジネスモデルになるかもしれない
目指すは「真のビッグデータの民主化」
「企業でのビッグデータ活用を促進するためには、誰もが手軽に使えるビジネスインテリジェンス(BI)ソフトとデータ処理基盤が必要だ。クラウドを利用した新たなサービス形態によって、“真のビッグデータの民主化”を実現したい」
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部クラウドアプリケーションビジネス部の斎藤泰行部長は4月24日、同社が開いたビッグデータ関連事業の記者説明会でこう語った。
同社はこの日、無料のBIソフト「Power BI」とクラウドサービス「Microsoft Azure」を組み合わせた新たなビッグデータ活用ソリューションを国内で提供開始すると発表した。米Microsoftが今年(2015年)1月に投入した製品・サービスを日本語化したものだ。
注目されるのは、利用者にとってビッグデータの収集や分析を行う手元のツールとなるBIソフトを無料にしたことだ。同社はこれまでBIソフトとしてExcelのアドオンで実装した「Power BI for Office 365」を提供してきたが、今回の無料版Power BI Designerはほぼ同等の機能や操作性を維持しながらWindows上で利用できるようにした形だ。
斎藤氏はBIソフトを無料にした理由について、「今後BIソフトを本格的に普及させていくためには、まずBIが難しいという技術面の障壁を打破しなければならないと考えた。そこで当社は、最もポピュラーなデータ処理ソフトであるExcelにBI機能をアドオンすることで、分かりやすく使いやすい製品を投入した。だが、もう1つ大きな障壁があることに気づいた。BIに対して費用対効果が分かりにくいという経済面での懸念だ。そこで今回、無料版を提供することでまずはコストをかけずに誰でも手軽に利用していただけるようにした」と説明した。(図1参照)
こうした戦略展開の背景には、企業におけるビッグデータ活用に対する同社ならではの基本的な考え方がある。それは「ビッグデータは経営層やマーケティングなど特定の部門だけでなく、あらゆる業務の現場で活用することが重要だ」(斎藤氏)というものだ。「真のビッグデータの民主化」という言葉はこの考え方に基づくものであり、今回の無料版の提供も“民主化”を加速させたいという同社の意図を強く反映させたアプローチといえる。
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