目標、理解、明快さ、順応――カオスな世界で前向きに生きるための“4つのヒント”:今日から自分プロデュース!(2/2 ページ)
正解がなく先が見えない、混乱に満ちた世界で自分をどう安定させるか。最終回となる今回は、連載のまとめとして「VUCAワールド」になぞらえて、カオスな世界の中でも、力強く前に進んでいくために必要な4つのポイントを紹介します。
Clarity(明快さ):シンプルに物事を捉え、判断するために息抜きを!
明確な目的を持ち、物事を理解することはとても大事なことですが、そのためにはシンプルな思考が必要になります。私たちは日々、洪水のように降りかかってくる情報に悩まされています。自分の処理能力を超える過多な情報は、心を迷わせ、判断を鈍らせます。そのため、情報をどのように遮断するか、そしてどのような基準で情報を選別するかがポイントになるでしょう。
そんなときにオススメなのは瞑想や座禅(マインドフルネス)です。近頃は都内でも座禅体験ができるところが増えていますし、グーグルが瞑想を研修に取り入れているのは有名な話です。筆者も以前、東京禅センターの座禅体験に行ってきましたが、姿勢を整えて意識的に息を吸って吐くだけでも、「いま、ここ」への意識が高まる感覚がありました。
今目の前で起きている事象をしっかりと感じ取ることで、雑念などが払われ、思考もはっきりする。瞑想にはそんな効果があると言われています。こうした時間を取るのが難しいという人は、数分間の瞑想や今考えていることをひたすら書き出す「ジャーナリング」というワークをやってみるのもいいでしょう。筆者もストレスを感じたときに、その時々の気分で瞑想やジャーナリングを行っています。
Adaptability(順応性):偶然と意図的なもののバランスをとろう!
連載の第6回では、ストレングスラボの森川さんと対談を行いましたが、その中で40代、50代で自分の強みを生かして突き抜けるために、20代はさまざまな経験したほうがよいという話がありました。「本当にそうなの?」と思われる人もいるかもしれませんが、偶然生まれた機会を生かし、自分の人生を意図的に創り出すことも重要です。
偶然を生かして成功した企業の例を見てみましょう。1960年代、ホンダは北米市場に大型バイクで進出を図りましたが、当時のホンダはハーレーダビッドソンなどのバイクにまったく太刀打ちできず、行き詰まっていました。
しかし、たまたま休みの日に社員たちが丘で、移動用に使っていた小型バイクのスーパーカブを走らせていたのがアメリカ人の目にとまり、空前のヒットへとつながります。大型バイクを売るという意図で北米に進出したホンダですが、売れるとも思っていなかった小型バイクが偶然にも売れ、その後は小型バイク市場を開拓していったのです。
確かに明確な目標を持って進むことは重要です。しかし、偶然から道が開けることも多々あります。偶然を排除せず、新たな機会を受け入れることが人生を豊かにするコツです。また、偶然の出来事をチャンスとしてとらえ、正しく判断をし、意図的に進んで成功するためにも、普段から自分の強みを理解しておくことは重要なのです。
「自分は何のために仕事をしているんだろう?」――と、考えたことはありませんか。社会に出て仕事をしていれば、何度もこの問いにぶつかるのが普通だと思います。しかし、この新たな「VUCA」を意識することで、仕事や人生に対する考え方はきっと変わっていくはずです。
さて、「今日から自分プロデュース!」は今回で最終回。連載劇場もこれにて閉幕となります。しかし“自分遣いの達人”を目指す道のりはこれからも続きます。一番大切なのは、自分自身への好奇心を維持すること。今日から自分を“再発見”する旅に出てみてはいかがでしょう。
さあ、今日もあなたの舞台がはじまります!
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著者プロフィール:伊藤利江子
2007年、野村総合研究所入社。公共部門のコンサルティング部署に5年間所属し、企業の人材マネジメントに関する調査等、人材関連の調査業務に従事する。その中で、NPO支援をしていたイデリアに出会いコーチングに興味を持つ。2012年より、IT企業や不動産会社を中心にエグゼクティブコーチングと組織変革のサポートを行っている。
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