「Windows 10時代」のOfficeとの付き合い方:特集「Office 365」(2/3 ページ)
2015年夏登場予定の「Windows 10」。これによって企業のWindows PC利用環境にどんな変化が出てくるのか。間もなくのリリースが予告される「“ユニバーサル”版Office」と「Office 2016」の違い、そしてOffice 365やライセンスまわりの話を整理しよう。
もう1つのOfficeアプリケーション「Office 2016」
米MicrosoftのOfficeプロダクトマネージメントチームのゼネラルマネージャー ジュリア・ホワイト氏が2015年1月22日に自社Blogへ投稿した説明によれば、同社は「Windows 10向けOffice」としているユニバーサル版Officeとは別に、Officeデスクトップスイートの次期バージョンも準備を進めており、「Office 2016」の名称で呼ばれる製品になるという。
これはまず2015年3月16日に「Office 2016 IT Pro and Developer Preview」の名称で開発者向けに開発途上のバージョンが公開された後、同年5月4日に「Office 2016 Public Preview」の名称で一般向けに開発途上の早期体験バージョンが実際に公開されている。
ユニバーサル版Officeとは異なり、こちらのOffice 2016はPC版Windows 10専用となる。Windows 10 Mobileのようなスマートフォンでは動作しない。いわゆる従来のMicrosoft Officeアプリケーションの直接的な後継にあたるのがOffice 2016の位置付けだ。
2つのOfficeの違いとは?
では、2つのOfficeの違いは何か。
簡単に言ってしまえば、ユニバーサル版Officeは「無料」であり、Office 2016は正規にライセンスを購入する「有料版」である。
スマートフォンや小型タブレットとともに提供されるWindows 10 Mobileには、ユニバーサル版Officeが標準でバンドルされ、別途アプリを購入せずとも利用可能だ。こちらはWindows Storeでも無料で配布が行われているため、PC版Windows 10を利用しているユーザーであってもダウンロードしてインストールが可能だ。さらにそのまま無料で利用できる。
このユニバーサル版Officeについては、現時点(2015年5月時点)すべての情報が出ているわけではないため一部予測も含むが、同Officeの利用にあたっては「Office 365サブスクリプション」または「OneDriveアカウント(Microsoftアカウント)」が事実上必須になると考えられる。
すでにAndroidとiOS向けに提供されているOfficeアプリでの例だが、これらサブスクリプションとそのアカウントでログインしない限り、基本的には「文章の閲覧」と「簡易編集」しか行えない。「OneDriveアカウント(Microsoftアカウント)」があれば文書の新規作成が可能になるが、編集機能には一部使用制限がかかっており、有料の「Office 365サブスクリプション」を経て初めてすべての機能が利用できるようになる、3段階の利用制限が存在する。おそらくはユニバーサル版Officeでも同様の制限がかかる可能性が高いとみており、基本的には「Office 365サブスクリプション」の仕組みだといえるだろう。一方で、同製品がバンドルされるWindows 10 Mobileでは、利用にあたってMicrosoftアカウントの登録が必要となるため、「機能の一部利用制限」に留まるのではないかと予想する。
Office 2016については、正式発売後に「Office Premium」と呼ばれる個人PC向けのバンドル販売形態のほか、Office 365経由でのダウンロード入手という形態を採る。個人向けではOffice 365 Soloのサブスクリプションで入手可能で、中小企業向けには「Office 365 Business」「Office 365 Business Premium」のいずれかのサブスクリプション、大企業では「Office 365 ProPlus」「Office 365 Enterprise E3/E4」のライセンスがあれば、発売後にいつでもOffice 2016を入手可能だ。Office 2016の提供時期についてはまだ発表がないが、おそらくWindows 10提供開始後の秋頃だとみられている。
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