「Windows 10時代」のOfficeとの付き合い方:特集「Office 365」(1/3 ページ)
2015年夏登場予定の「Windows 10」。これによって企業のWindows PC利用環境にどんな変化が出てくるのか。間もなくのリリースが予告される「“ユニバーサル”版Office」と「Office 2016」の違い、そしてOffice 365やライセンスまわりの話を整理しよう。
Windows 10時代に登場する「2つのOffice」
現在(2015年)、Windows PCでOfficeアプリケーションを利用したい場合、「Word」「Excel」「PowerPoint」といった、いわゆるMicrosoft Officeスイートと呼ぶ“デスクトップ・アプリケーション”群をインストールして利用することになる(こちらはクラウドベースのサブスクリプション版Office 365も同じだ)。これがWindows 10の時代になると「“ユニバーサル”版Office」が新たに用意され、ユーザーは用途や環境によって2種類のOffice製品を使い分ける形となる。
“ユニバーサル”版Officeとは何か。
Windows 10では、PCだけでなく、スマートフォンからタブレット、果てはゲーム機まで、すべての「Windows」の名称を冠するプラットフォーム上で共通に動作する「Universal Windows Platform(UWP)アプリ」という概念が導入される。
iPhone/iPadとMacの例を考えてみると分かりやすい。前者はiOSと呼ぶプラットフォームで、後者はOS Xという別のプラットフォームとして存在しており、両者に対して別々のアプリを用意してやる必要がある。Windows 10ではこうした区別をなくし、1つのアプリがスマートフォンからPCまで、すべて共通の仕組みが用意され、画面サイズや操作環境に応じてそれぞれ最適化された形で動作する。「“ユニバーサル”版Office」とはつまり、「UWPアプリとして提供されるOffice」ということだ。
ユニバーサル版Officeは「Windows 10が動作するPC」だけでなく、「Windows 10 Mobile」の名称で呼ばれるOSが動作するWindows スマートフォンや(8インチ未満の)小型タブレットでも利用可能になっている。スマートフォンからタブレット、PCまで、1つのOfficeアプリを共通利用できる仕組みだ。Windows 10の入ったPCでユニバーサル版Officeを動かせば「タッチ操作に最適化されたOffice」として利用可能となる。Windows 10 Mobileの動作するスマートフォンで同Officeを動かせば、小型の画面サイズに最適化された形でOfficeが動作する。
こちら、iPad向けのOffice for iOSを利用したことがあるならご存じかもしれないが、こちらは編集モードと閲覧モードが別々に用意されているなど、小さい画面サイズでも作業できるような工夫がなされている。Windows 10 Mobileにおいても同様の操作体系を持つことになる。
なお、日本ではいまのところWindows 10 Mobileへのアップグレードが可能な「Windows Phone 8.1」端末が販売されておらず、こちらはマウスコンピュータなど複数のメーカーが2015年夏ごろのリリースを目指して準備を進めている。実際にユーザーが試す環境が揃うのも今夏以降になるだろう。
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