ニュース
第1回 「マイナンバーと税理士」の密接な関係:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(2/3 ページ)
マイナンバー制度は全ての企業で、さらにその委託先、例えば税理士の業務も考慮して対応しなければならない。中小企業はもともと、税務を税理士に委託している実情があるからだ。「税理士への委託」を考慮した実践的な対策方法をできるだけ分かりやすく解説していく。
マイナンバーの取り扱いはすべての事業者に関わってくる
特定個人情報保護委員会では、すべての事業者が個人番号の取り扱いに関わることから「事業者向けのガイドライン(特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン)」を公表しています。
「個人情報保護法」では、取り扱う個人情報の数が少なければ(5000件まで)規制の対象とならなかった中小企業でも、個人番号を1件でも取り扱う、つまり1人でも従業員を雇用していれば(個人事業主なら自身1人でも)個人番号を取り扱う「個人番号関係事務実施者」となり、このガイドラインで提示されている責務を負うことになります。
具体的には、すべての企業は、
- 必要な範囲を越えて特定個人情報を取り扱うこと(取得・利用・保管など)をしてはならない
- 特定個人情報が漏えい、紛失などしないように安全に管理しなければならない
- 特定個人情報を取り扱う従業者に対して教育、監督しなければならない
- 特定個人情報の関係事務を委託する場合は、委託先を監督しなければならない
- 特定個人情報保護委員会の監視・監督下におかれる
を行わなければなりません。このガイドラインで「しなければならない」および「してはならない」と記述してある事項に従わなかった場合には、法令違反と判断される可能性があります。
人材を豊富に抱える大企業の場合はまだしも、人材に余裕のない中小企業で当ガイドラインに記述されている内容に即して個人番号を取り扱うこと、具体的には特定個人情報について、取り扱いの基本方針および取扱規定を定め、安全管理措置を講じることなど、すべてに対応していくことは難しいというのが実情と思います。
とはいえ、個人番号の取り扱いは避けられない課題として中小企業に迫ってきています。
関連記事
- 特集:情シスのための「マイナンバー対応」対策指南
すべての企業は、このマイナンバーに社として対応する必要が迫られています。本特集は、「マイナンバーとは何か?」から、自身が「どう対策すべきか 選定・導入・運用」の課題に特化して具体策をまとめていきます。 - FinTech系クラウド会計 A-SaaSとfreeeが提携、データ連携開始
税理士向けクラウド会計「A-SaaS」と個人事業主・小規模法人向けクラウド会計「freee」が提携。freeeの仕訳データをA-SaaSで取り込めるようにし、個人事業主+中小規模法人から委託する税理士の税務・申告まで、一気通貫での税務対応を実現する。 - アカウンティング・サース、税理士+中小企業向け「クラウドマイナンバー管理サービス」開始
税理士向けクラウド会計サービス「A-SaaS」を展開するアカウンティング・サース・ジャパンが、クラウド型の「マイナンバー管理サービス」を開始。“できれば持ちたくない”税理士と税理士へ税業務を委託する中小企業に向けて展開する。 - マイナンバー、自社コスト負担に懸念 平均109万円
帝国データバンクが、企業約1万社を対象にしたマイナンバー制度に関する意識調査を発表。6割は「まだ何もしていない」、負担額は平均109万円。新たなコスト負担の懸念、効果を不安視する声が浮き彫りになった。 - 2015年秋からスタートする「番号制度(マイナンバー)」とは何ですか?
2015年10月から始まる「番号制度(マイナンバー)」。段階的な利用拡大に伴って、行政だけでなく民間企業でも様々な対応が必要となります。本連載では制度のあらましと行政の対応、民間企業が取り組むべき点について解説していきます。 - マイナンバーのセキュリティ対策 面倒な事態を避けるには?
これから社内で取り扱っていくマイナンバーという“新しい情報”ではセキュリティが重要だといわれる。システム管理者や経営者はどう向き合えばいいのかを解説しよう。 - 企業のマイナンバー対応に大幅な遅れ、ルールやシステム整備に問題
日経BPコンサルティングの調査から、マイナンバー対応作業に着手した企業は2割に満たず、2017年1月の制度施行に間に合わない企業が多発すると予想される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.