第1回 「マイナンバーと税理士」の密接な関係:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(3/3 ページ)
マイナンバー制度は全ての企業で、さらにその委託先、例えば税理士の業務も考慮して対応しなければならない。中小企業はもともと、税務を税理士に委託している実情があるからだ。「税理士への委託」を考慮した実践的な対策方法をできるだけ分かりやすく解説していく。
「社会保障・税番号制度」と税理士の密接な関係
番号法に規定された個人番号の利用範囲は、災害に際して必要になる手続きを除けば、社会保障と税になります。この分野で個人番号の記載が必要となる書類の作成について、中小企業では社会保険労務士や税理士に委託しているのが一般的ではないでしょうか。
個人番号の利用範囲として法律で規定されている税関係の書類を見ると、税理士の主業務である税務申告関連のすべての業務(源泉所得税、消費税、法人税、相続税など)が対象になっています。これらのうち、法人税では個人番号ではなく法人番号の記載となるため特定個人情報の取り扱いには当たりませんが、それ以外は個人番号の記載が必須となります。つまり、中小企業や個人事業主から業務を委託されている税理士は、個人番号の取り扱いについても同様に委託を受けることが避けられません。
例えば、中小企業で従業員の個人番号の取り扱いが必須になるのは、税分野では源泉所得税関連の業務となります。個人番号の利用が必要となるのは給与計算業務ではなく年末調整業務であり、ほとんどの中小企業は年末調整業務を税理士事務所に委託しているのが現状です。
そこで中小企業の担当者は何を考えるべきでしょう。税理士事務所に年末調整業務を依頼しているのであれば、早めに顧問の税理士事務所と相談し、従業員の個人番号の収集から保管、利用それぞれのシーンでの相互の役割分担や、どんなフローで業務を行うことになるのか取り決めをしましょう。そのうえで、基本方針や取扱規定などの準備を進めることもマイナンバー対策として忘れてはなりません。
なお、社会保障分野で社会保険労務士に業務を委託している場合も同様です。同様に社会保険労務士と相談して進めていくことが対策の近道となります。
(続く)
次回より実践的・具体的な、マイナンバー制度における「税理士業務の現状と課題」を解説していきます。
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