Windows 10、企業のアップグレードはどうなる?:Enterprise IT Kaleidoscope(2/2 ページ)
多くのユーザーが待ち望んでいるWindows 10のアップグレード提供が7月29日から始まる。しかし、企業ユーザーにとっては少し状況が異なるようだ。
企業での注意点
前述したようにWindows 10 Enterpriseは、SA契約での提供となる。企業向けの提供は、一般向け提供が始まる7月29日ではなく、もう少し遅れた日程で始まることになる。
企業環境で問題になりそうなのが、Windows Proだ。
筆者の環境で試してみると、ワークグループなどActive Directory(AD)を使ったドメイン管理下にないWindows ProにはWindows 10を入手する「Get Windows 10アプリ」が表示される。しかし、ADを使ったドメイン管理下にあるWindows ProではGet Windows 10アプリが表示されない。どうやら、ADという企業向け機能を利用しているか否かで、Windows 10へのアップグレード方法が異なるようだ。
確かに、企業でWindows OSを利用している場合、社員が勝手にクライアントOSをアップグレードしてしまうのは大きな問題となる。このため、Windows Proといえども、ドメイン管理下で使用している場合は、勝手にWindows 10へアップグレードができないようになっているのだろう。
ただ、市場でWindows 10で盛り上がれば盛り上がるほど、企業のIT管理者のもとに「自社のPCはどうなるのか?」など、社員から問い合わせが来るだろう。IT管理者としても、企業におけるWindows 10の配布方法がどうなるのかは気になるだけに、Microsoftはできる早く告知をしていくべきだと思う。
Windows 10からは配布方法や販売スケジュールなどが大きく変わる。企業へのWindows 10の提供は、年内いっぱいはかかると思った方がいいようだ。また、企業でWindows 10をテストするのは、半年から1年先ぐらいを目処にして、その後に実際の導入計画を考える方が望ましいと思われる。1年ほど経てば「Windows Update for Business」や、Microsoftのクラウドから企業向けアプリを配布する「Business Store」などの手段が整備されてくる。企業への導入はそういった方法がそろってから考えた方がいいだろう。
また2016年の春から夏には、Windows 10の大幅な機能アップも計画されているので、企業ユーザーはWindows 10をゆっくり準備していくべきだろう。Windows 10は今までのWindows OSとは全く異なった提供になる。新機能なども、コンシューマー向けが先行し、企業向けが数カ月遅れで提供される。企業ユーザーはこういったスケジュールに慣れていく必要がある。
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