リーダー、プロマネに求められる「何もしない」勇気:そのひとことを言う前に(2/2 ページ)
数回にわたって「デキるチームを作る」方法を紹介してきましたが、今回はついに最終回。好調を持続させるコツと、意外と大事なプロジェクトの“終わらせ方”について解説します。
「プロジェクトを終わらせる」ために、“振り返り”を行う
“Adjourning”――プロジェクトやチームが終わるのは、期限が来たり、特定の成果が出せたりとその理由はさまざまです。
チームが解散のタイミングを迎えたとき、リーダーはメンバーと時間を取り“解散の儀式”を行わなければいけません。これは、メンバーが次のチームで活躍するために必要なことです。
チーム内でメンバーのこんなつぶやきを聞いたことはありませんか?
「以前のプロジェクト(部署)はもっとすごい事やっていた」
「最近いたチームの人達はすごい人ばっかりだった」
「前のプロマネの方がよかった」
このように、昔を懐かしむようなつぶやきをしているメンバーは要注意です。前のチームの居心地が良かったと考えている人ほどこの傾向は強く、自分の中で終了したことを消化できずにいるため、新しいチームがはじまっても力をフルに発揮できないでいるのです。付き合っていたパートナーから一方的に別れを告げられ、次の相手を探す気力が起きないといった状況を考えると分かりやすいかもしれません。
メンバーが気持ちを切り替え、新しい出会い、新しいチームで力を発揮するためにも、リーダーはチームの解散時期に“プロジェクトを終わらせる”ための振り返りを行うべきです。少しの時間でも構いません。もちろんこれが絶対というわけではありませんが、以下のような点から、プロジェクトの振り返りを行ってみてください。
- このチーム(プロジェクト)で得たこと全般(気付き、スキル、行動)
- チームで活動する上で効果的でなかったこと(葛藤を恐れて、発足間もないころは本音で関わらなかった、など)や、やめたほうがよいこと
- 次のチーム(プロジェクト)で生かしていきたい工夫や気付き
リーダー(プロマネ)の最後の仕事は、チームやプロジェクトをきちんと完了させ、メンバーを卒業させることです。チームやプロジェクトをきちんと振り返り、経験したことを整理し、次に生かす知恵を見つけることで、次の機会をより充実させることができるのです。
メンバーが次の場所で活躍し、そしてまた同じメンバーと組んだときには、互いに力を合わせられるように――。素晴らしいチームは解散時にも手を抜きません。優秀なリーダーはこうして「できるヤツ」を増やしていくのです。
今回のまとめ
Q:チームがまとまり、成果が出るようになった今、リーダーとして何をすべきでしょうか?
A:「何もしない」で結構です。ただすぐ対処できるように「観察」はしておきましょう。またいずれ来るチームの解散時には、意識的に完了の儀式(振り返り)を行いましょう。その時間を取らないと、各メンバーが次のチームで力を発揮しづらくなる恐れがあります。
著者プロフィール:岩淺こまき
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師
大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気付く。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。
- ブログ:「岩淺こまきの『明日の私を強くするビジネス元気ワード』」
- シゴトに効く姉妹連載「上司はツラいよ」はここから。
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