公開迫るWindows 10、アップグレード開始後どうなる?:Enterprise IT Kaleidoscope(2/4 ページ)
「Insider Program」によるWindows 10のビルドの更新が立て続けに行われ、7月29日のアップグレードのリリースに向けた準備が本格化している。アップグレード開始後の様子を占ってみたい。
「ローリング アップデート」で配信
現在Windows 7/8.1のユーザーでは「Get Windows 10」アプリを使って、アップグレードのためのダウンロード予約ができるようになっている。このアプリは7月29日以降、自動的にWindows 10のアップグレードのデータをダウンロードし、PCにインストールできるよう準備してくれる。
Windows 10の開発を担うMicrosoftのWindows and Devices Groupのエグゼクティブバイスプレジデント、テリー・マイヤーソン氏のブログによれば、「7月29日に世界中の人々が同時にWindows 10をインストールできるようになるわけではない」と説明している。
これはアップグレード版のデータ量が大きいため、全世界の対象ユーザーが同時にダウンロードすると、膨大なインターネットトラフィックをさばくMicrosoftのネットワークでも、さすがに大きなトラブルが起きかねないからだ。もしかすると、全世界のインターネット回線にトラブルを起こす可能性すらある。
そこで、ダウンロード予約しているPCへ順次配信していくローリングアップデート方式が採用された。Windows 10のダウンロード予約をしていても、7月29日にアップグレードができるわけではない。アップグレード予約をしているユーザーは、Get Windows 10アプリからダウンロード終了の通知を待つしかない。
もう一つ重要なのが互換性問題だ。Windows 7/8.1のPCに接続されている周辺機器のドライバなどがWindows 10に対応していないと、Windows 10をインストールしても適切に動作しなくなる。
Get Windows 10アプリではPCのハードウェア互換性をチェックし、Windows 10で動作トラブルになるドライバが見つかった場合は、Windows 10版のドライバがリリースされるまでアップグレードを待つ仕組みになっている。ユーザーの環境によってはローリングアップデートによる順番待ちとは別に、アップグレードができるまでの時間がさらにかかる場合もありそうだ。
Windows 8.1で動作するアプリケーションの多くはWindows 10でも動作するとみられるが、実際に市場に出てみると、幾つかのアプリケーションではトラブルが起きるかもしれない。それに、Windows 10としてのゴールが、配信開始日の7月29日ではない点も意識しておくべきだろう。7月29日以降も様々な修正や新機能が提供されていく。今までのWindows OSを見ると、リリース後の数カ月間はバグの修正やセキュリティアップデートなどが立て続けに公開される。
こういった様々な可能性を考えれば、Windows 7/8.1の一般ユーザーは7月29日に、すぐにアップグレードしない方が懸命だろう。無償アップグレード期間は1年なので、まずは状況を見て、少し落ち着いてかからアップグレードしていく方がいいだろう。
なお、開発者向けに提供されてきたInsider Programは、7月29日以降も続くことになっている。Insider Programでバグの修正や新機能の提供が行われることで、ユーザーは様々なフィードバックをMicrosoftに送ることができる。
つまり、7月29日以降のInsider Programは、安定したWindows 10の提供というよりも、新機能を積極的に提供して先進的なユーザーにテストしてもらい、フィードバックを得ることを主眼としている。動作が不安定になったり、ユーザーデータが消去されたりするような可能性もある。あくまでも、検証用途として利用するものだ。
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