水道トラブル8000円、スマホ決済でスマートにできる理由(3/3 ページ)
水まわりを中心とした緊急出張メンテナンスを手掛ける企業「アンセイ」が、モバイル決済サービス「Square」を導入。水道トラブルの現場で迅速なクレジットカード決済が求められる理由はどこにあったのだろうか。
決済処理と入金サイクルのスピードが向上
アンセイは東京、名古屋、大阪の3拠点を展開しているが、東京拠点で効果を確かめてから大阪や名古屋の営業店にも順次展開していったという。Square導入でまず効果が上がったのは決済処理スピードの向上だ。これまで5〜10分かかっていた処理は1〜2分まで短縮されたという。それとともに伝票紛失に伴う情報漏えいリスクもなくなった。
一方、本部の経理部門では、現場スタッフから集めた決済伝票を仕分けたり、カード会社に郵送する作業がなくなった。彼らはSquareの管理画面にログインして全取引の入金を確認すればよく、業務の負担が大幅に軽減された。
こうしたモバイル決済サービスは最短で翌営業日には入金されることから、キャッシュフローの安定化にもつながっている。今まで1カ月だったものが最短で1日と、入金サイクルのスピードが上がったことで、作業ミスが起こりやすくなったものの、都度対策をとっていくそうだ。「翌日入金に対応するカード決済は、現金決済と感覚的にほぼ同じ。現場スタッフは直行直帰することも多いため、カード決済は現金決済よりも入金サイクルが短いくらいです」(一条さん)
モバイル決済サービスの導入で、クレジットカード利用の障壁が低くなり、利用者が増えれば、アンセイにとってもビジネスチャンスが増えるという。「例えば、追加の修理や補修が発生したときに、現金しか対応していないと『手持ちがない』となってためらうケースが多いですが、クレジットカードが使えれば『今やってください』と踏み切ることもあります。こちらとしても、できればトラブルの“元”は断ちたいですし」(一条さん)
今後は現金決済との一括管理や、決済データの分析も検討しているという。また、一条さんは同業の工事会社にSquareの効果や使い方を広めていきたいとしている。アンセイのような修理業界の事業者は“一人親方”であるケースも多い。こうしたモバイル決済サービスは、業務効率化やビジネスへインパクトの面で、彼らを助けるカギになるかもしれない。
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