ブラインドサッカー日本代表が強くなったもう一つの理由:協賛金が5年で10倍に(3/3 ページ)
2015年9月2日〜7日に行われた「IBSA ブラインドサッカーアジア選手権 2015」で、第4位と健闘した日本代表。ブラインドサッカーの認知度が上がり、チームが強くなってきた背景には、選手の努力と彼らを支える運営体制のIT化があるという。
協賛金が5年で10倍に
名刺管理をIT化することでブラインドサッカー協会は、名刺情報を軸としたスポンサー集めの戦略を立てやすくなったという。
「体験から個別アプローチまでのフローは、まず、ブラインドサッカーを体験してもらうところから始まります。次に懇親会でアンケートに答えてもらって、その内容を参考に次のアプローチを検討するわけです。社内で名刺の管理と共有を徹底するようになってから、名刺を生かした営業フローをきちんとマネジメントできるようになりました。また、名刺を属性別で管理し、個別の宛名で一斉メールを配信することで、メディアに対して効果的なリリースを送れるようになり、取材される回数が多くなったのです。それによって認知度が一気に高まり、体験者数とスポンサーも増えています」(松崎氏)
こうした努力もあり、協賛金は5年で10倍以上に増えたという。以前に比べて、選手により良い練習環境を提供することができるようになり、海外遠征の機会も増えたそうだ。
松崎氏は、名刺交換をしたあとに“その人にあった細かい対応を継続的にできる”ようになったことが、相手と信頼関係を築くことにつながったと話す。
「障がい者スポーツの試合を有料化すると観客が入らないといわれていますが、ブラインドサッカーの試合には有料でも人がたくさん入るようになりました。相手との信頼関係を築けたことで、リピーターが増え、こうした結果につながったのだと思います」(松崎氏)
松崎氏の次なる目標は、2024年の国際大会で世界1位になることだ。「その結果として、このダイバーシティ事業を大きくしていき、障がい者と健常者の混ざり合う社会を実現していきたいと考えています」(同)
事業を始めたばかりで知名度が低い組織は、協力者を集めるのに苦労する。そういった場合、限られたリソースを最大限に活用し、相手へ効果的なアプローチを行うことがより大切になってくる。
営業が思うように進まない組織は日本ブラインドサッカー協会のように“名刺交換をした相手とどう関係を築いているのか”をいま一度、見直してみると新たな道が開けるかもしれない。
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