リクルートに聞く“脱Excel、BI導入”成功への秘策:リクルートのセルフサービスBI導入記【後編】(1/3 ページ)
「セルフサービスBI」をビジネスの現場に浸透させるにはどうすればいいか。「Tableau」の社内展開に成功したリクルートライフスタイルが取った方法は、社内に次々とエバンジェリストを作るというものだった。
インタビュー:リクルートのセルフサービスBI導入記
さまざまな業務で「Tableau」を利用しているリクルートライフスタイルに、導入のポイントやツールの活用法を聞く本インタビュー。後編では組織の中で「セルフサービスBI」を浸透させる方法について聞いていく。
データ分析業務の生産性が15倍に――。セルフサービスBI「Tableau」の導入で目覚ましい成果を上げているリクルートライフスタイル。しかし、セルフサービスBIを使う文化を社内に定着させるまでには、さまざまな苦労があったと前田さんは振り返る。
「これは仕方のないことなのですが、基本的に現場の人たちは業務に対して“現状維持”の方向に流れやすく、知らず知らずのうちに不満や不安が薄れてきます。そうなると、より高い理想を掲げて、現場が“変わらなければ”と思うように仕向けるしかありません。温度感が上がり、不満や不安が出てきたところにソリューションを用意するのです」(前田さん)
以前に一度、エンタープライズBIの社内普及に失敗した経験がある前田さん。今回は社員が自らデータ分析を行う文化を定着させることまでを目標に導入プロジェクトを始めた。
Tableau普及を進める「シューマッハ・プロジェクト」
「われわれはプロジェクトの目的を『社員が自分で分析を行える状態にする』ことに定めました。社内では“シューマッハ・プロジェクト”と呼んでいましたね。バスのように順番を待ち他人に運転を委ねるのではなく、F1車のダッシュボードを見ながら自ら高速に運転してほしい! という意味で、現社長が名付けたんです(笑)」(前田さん)
社員が自ら分析をしてもらうには、その方法を習得してもらうと同時に“やりたい”というモチベーションを喚起することが大事だ。そのために前田さんがとった作戦は、「社内にエバンジェリストを作る」というものだった。
「データの構造が分かり、既にある程度自分で分析を行っていて、もっとやりたいと飢餓感を持っている……というレベルだと社内にも数人しかいませんが、まずはその人たちに絞ってTableauを使ってもらったのです。彼らが自席でTableauを使っていると、『なにそれ? そんなことできるの?』と周りの人が注目するので、いいインフルエンサーになってくれました」(前田さん)
また、前田さん自身も会議中に「ここのデータはどうなっているのか」といった話が出た際に瞬時にTableauでリポートを作ってみせたりしてツールの良さをアピールした。そうして「私も使いたい」という気分になった人から、徐々に利用を広げていくことで、今では分析業務に関わる人の半数以上がTableauを使うようになったという。
「Tableauの人も言っていたのですが、こうしたツールを広めるには“Land&Expand”という考え方が有効だと思います。まずは一部の人に使ってもらい(Land)、そこから広げていく(Expand)。導入当初に戻れるとしても、「同じ方法を使うだろう」と思うくらい普及のさせ方には自信があります」(前田さん)
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