リクルートに聞く“脱Excel、BI導入”成功への秘策:リクルートのセルフサービスBI導入記【後編】(3/3 ページ)
「セルフサービスBI」をビジネスの現場に浸透させるにはどうすればいいか。「Tableau」の社内展開に成功したリクルートライフスタイルが取った方法は、社内に次々とエバンジェリストを作るというものだった。
データ整備と高度な分析が情報システム部門の役割に
シューマッハ・プロジェクトにおける自らの役割について「道路整備」と話す前田さん。「ユーザーが自分で運転できるようになれば、行きたいところが増えてくるもの。分析の幅を広げてもらえるよう新しいデータを整備することはこちらの役割です」(前田さん)
セルフサービスBIツールを現場が本当に使えるものにするためには、データモデルが非常に重要となる。データを整理し、ひと手間加えるだけで分析の幅が広がるとのことで、導入当初もその点に非常に注力したそうだ。
「Tableauにはいろいろなサンプルデータソースが付いていて、『こういう風にデータモデルを作ればいいんだ』と参考になりました。最終的には、FDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬局)がどうデータを管理しているかまで調べるなどあらゆるモデルを見ましたね。最初のうちは試行錯誤でしたが、最近は経験値がたまり、良いデータモデルを速く作ることもうまくできるようになってきました」(前田さん)
とはいえ、気合いを入れ過ぎて難しいデータモデルを作ってしまっても、それは現場に使ってもらえない。作りかけの状態で現場のユーザーに見せ、反応をうかがいながら修正を加えていく姿勢が大切だと前田さんは強調する。
このほかに、セルフサービスBIツール単独ではできない部分を担うのも専門家の役割だ。例えば、日別売上のリポートに「来月の売上予測」という列を追加できるよう、裏で予測データを作っておくというような地道な作業だ。
ツールの浸透とともに分析がマンネリ化することを避けるため、ユーザーには常に新しいものを見せていきたいという前田さん。上記の「予測データ」の提供もその一貫で、ユーザーの反応もよく、手応えを感じているそうだ。セルフサービスBIの時代になっても、ユーザーのシステム活用には、情報システムの専門家による環境整備やサポートが欠かせないことが分かるだろう。
最近は、IoT(Internet of Things)関連のプロジェクトもスタートし、今後はセンサーから得られるデータについても前田さんが可視化や分析を始めていくという。
「今までとは桁が異なるような膨大なデータを相手にすることになりますが、それもまた大きな楽しみです。予測に機械学習を使ったり、パートナー企業とデータを共有するといった展開も考えています」と語る前田さん。データ活用の先進企業として進んでいく同社の新たな施策から目が離せない。
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