第9回 「持たない手段」で考えるマイナンバー管理運用のイメージ:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(2/3 ページ)
中小企業のマイナンバー対応は「士業への委託と連携+できるだけ持たないを考えた実務」がキモになる。9回目は「マイナンバーを“持たない”クラウドシステムの活用方法」について解説する。
「取引先個人事業主」のマイナンバーの場合
では、外部取引先である個人事業主のマイナンバーはどうでしょう。
前回も確認したように、取引先が個人であれば、「不動産の使用料等の支払調書」や「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などのために、その方のマイナンバーを収集する必要があります。
まずは「マイナンバーを、支払い元である自社に提供しなければならないことを理解してもらう」ためにも、継続的に取り引きのある相手には、早めにマイナンバーの提供依頼を行っておくことが大事です。
2016年(平成28年)になってから初めて仕事を依頼することも多いでしょう。例えば、フリーランスライターに原稿を依頼する、個人として講演を著名人に依頼する、などです。このケースも、依頼時にマイナンバーの提供依頼の通知も一緒にしておくなどの方法や内部ルールを決め、「早めに相手に意識していただく」ための準備をしましょう。
これらを想定した上で、「個人事業主からマイナンバーを実際にどう収集するか」の課題を考えます。まずは前述した従業員の場合と同様に、本人の作業で登録できるWeb登録ツールなどの仕組みがあれば、比較的容易に収集できることになります。
マイナンバーの収集業務は従業員のものだけでも大変ですが、外部の取引先となるともっと手間がかかると考えられます。収集業務は、書面でやり取りする方法も手段の1つですが、やはりコスト(郵送費など)やリスク(輸送時の書類紛失など)、そして先方の手間(用紙などへ記述し、確認書類などをコピーして同封して返送する作業)は伴います。本人が直接、スマホなどから入力できてしまうクラウド型ツールの仕組みは、事前のコミュニケーションさえきちんと行っていれば、提供する個人事業主にとっても手間がかからず、安心な仕組みです。
本人確認資料も画像データで収集できるクラウド型システム
従業員にしろ、個人事業主にしろ、収集するマイナンバーが本当に本人のものかを確かめる「本人確認」の作業は、収集側が収集時に行うことが義務化されています。
一般的にクラウド型マイナンバー収集・管理システムでは、文字列の誤入力チェック機能(ケタ数が違う、数字以外の文字が入っているなど、誤ったマイナンバー文字列を受け付けない仕組み)などとともに、番号確認のための通知カードや身元確認のための運転免許証、継続的な取り引きがある個人事業主の場合に本人確認書類となる書面などをスマホのカメラなどで撮影し、画像データとしてクラウド上へアップロードして管理する機能も備わっています。本人確認書類の画像データはマイナンバーとひも付けて管理されますので、マイナンバーの間違いが起こる可能性は限りなく低く抑えられます。
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