チームをまとめる“場づくり”力、あなたは持っていますか?:プロマネ1年生の教科書(2/2 ページ)
優れたプロマネが使いこなすスキルの2つ目「チームをまとめるスキル」もいよいよ大詰め。今回は自らが定めたチームの方向性をメンバーにどう示すか、そして日々の業務でどのようにチームを“かじ取り”していくかを考えます。
目標への軌道を日々修正し、チームのまとまりを持続させる
プロジェクトを進めていると、案件だけでなくチームの状況も変わっていきます。仕事量など目に見えるものだけではなく、体調や気持ちといった目に見えないものも含めれば、1日たりとも同じ日はないと言っても過言ではありません。
さっきまで素晴らしいパフォーマンスを発揮していたと思ったら、会議後にいきなりパフォーマンスがガタ落ち……なんてこともあるでしょうし、新メンバーの加入や、誰かのちょっとした発言に左右されたりして、迷いや怒り、疑問がわいてきて、仕事に集中できなくなることもあります。
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例えば、「あの人が自分勝手でこっちに影響が出ています!」「あの人ばかり優遇されておかしいです」などの細かい不満も、たまってくればパフォーマンスが落ちてきます。“それくらい自分で解決してよ!”という気持ちもあるでしょうが、ここで「調整は私の仕事だから。あなたは心配せずに自分の仕事に取り組んでくれればいい」と言えればメンバーに安心感が生まれます。
もし、あなたがプレイングマネジャーのような立場だったとしても、本来プロマネの仕事は、やっかいな調整や新しい仕事を作り出すことにほかなりません。これらの仕事に積極的に取り組む姿勢が、“この人だったら付いていこう”という気持ちやまとまり感、そしてゆくゆくは主体性を生むのです。
小難しい言動ではなく“場づくり”が腕の見せ所
研修でこうしたお話をすると、「自分にはとてもできない」と尻込みする人もいるのですが、小難しいことを考えずに、まずは小さなことからでも始めてみましょう。
とあるプロマネは、自分がよいと思った本を2冊デスクに置いたところ、離席中にメンバーが本を見始めたと教えてくれました。ある人が線を引き出すと、付せんを貼る人も出てきて、最終的にチームの文化や価値観を記した“バイブル”のような存在になったそうです。さらに、新メンバーが加入したときにチームになじむ助けになったのだとか。
チーム全員で同じものを共有するのは、チームのまとまりを生み出すには効果的です(同じ釜の飯……というイメージでしょうか)。本でなくとも信念だったり、経験だったりと、それを分かち合う場があればなおよし。楽しい経験だけではなく、つらい経験も同様です。話し合うことで気持ちに区切りがつき、“もやもや”が解消されるためです。
経験を分かち合う機会は、全員一丸となっての飲み会ばかりとは限りません。ランチでもよいですし、可能であれば業務中にコーヒーブレイクを(15分程度でも)設けるのもアリ。家族との時間や親の介護など、プライベートで事情を抱えている人もいるでしょう。日常的に行うならば、業務時間内だと喜ばれるはずです。
このように、チームで動いている感覚を共有できる場をどれだけ作れるか。これがプロマネしての腕の見せ所です。これが日常的なコミュニケーションのへの第一歩であり、メンバーが仕事に集中しやすい環境を作る礎となるのです。そのうち、抜き打ちで各メンバーに“チームの方向性”を質問してみましょう。全員がほぼ同じ答えを返せるようになれば、その頃には「個人の寄せ集め」ではなく「チーム」となっているはずです。
著者プロフィール:岩淺こまき
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師
大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気付く。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。
- ブログ:「岩淺こまきの『明日の私を強くするビジネス元気ワード』」
- “上司部下のコミュニケーション”に効く前連載「そのひとことを言う前に」はここからどうぞ。
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