第10回 マイナンバー対応の近道は「税理士に相談」:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(2/3 ページ)
中小企業のマイナンバー対応は「士業への委託と連携+できるだけ持たないを考えた実務」がキモになる。10回目は「“持たずに管理する”クラウドサービスの活用シーンとその相談相手」について解説する。
税理士を通して中小企業の安心・安全なマイナンバー対策をサポートする手段を考える
中小企業の多くは、年末調整業務を税理士に委託していると思います。企業は源泉徴収票などの作成業務のために、従業員やその扶養親族のマイナンバーの取り扱いも税理士に委託することになります。ここでは、この多くの中小企業の例を紹介します。
図1は、マイナンバーの収集、保管、利用、提出というプロセスで、マイナンバーの取り扱いがどのように行われるか、税理士がオンプレミス型(事務所内でシステム構築し、管理するスタイルの)システムを使用しマイナンバーを「守る」対応で対策する場合と、クラウド型サービス「マイナセキュリティ」との比較をしたものです。
オンプレミス型の手段は、従業員から事業主(者)へ、事業主(者)から税理士へマイナンバー情報が紙で受け渡されることになります。この手段はまず、紛失や漏えいが起こってしまう人的リスクがどうしても発生します。人の手を介すためです。税理士から税務署などの行政機関へ源泉徴収票などを紙で提出するフローも同様です。
また、この手段は税理士事務所などのPCやサーバにマイナンバー情報が保管されることになります。税理士事務所は当然、マイナンバー取り扱いの安全管理措置に基づくセキュリティ対策を講じるわけですが、企業と同様に、設備コスト負担の心配が税理士事務所にも発生します。ここにも紛失や漏えいのリスクが残ります。
これに対して、クラウド型サービスはどうでしょう。まず収集と管理のフローでは、従業員自身の作業で本人と扶養親族のマイナンバーを登録できる仕組みを提供できます。自身のPCやスマートフォンを使い、通信に暗号化を施した専用サイトやアプリで作業する方法です。
今回、例とした「マイナセキュリティ」では、税理士事務所が発行したIDを従業員が受けとり、自身のPCなどで専用のサイトへログインして情報を入力すれば、即座に安全対策をとったクラウド上に暗号化して登録されます。セキュリティを確保できる場所へ総務部門がマイナンバー登録専用のPCを設けてあげる、あるいは会議室などに従業員を集めて、会社で用意した端末から順番にしてもらう機会を設けてもよいでしょう。いずれにせよ、その場で入力でき、登録が済む手段のために、スケジュールに沿って従業員のマイナンバーを「自社で持たずに」収集できるメリットとともに、登録代行者のPCや個人のPCやスマホにマイナンバー情報が残ってしまうリスクなどもを回避できます。
そして、マイナセキュリティ(クラウド)に登録されたマイナンバー情報は、そのまま税理士事務所とも安全性を保ったまま共有(普段は見えず、必要な場合にのみ参照する方法で管理)できます。税理士は自身の税務システム(A-SaaS)で源泉徴収票などの法定調書を作成し、電子申告する際にのみ自動的に必要な場所にマイナンバーがセットされ、送信できます。
つまり、税理士事務所は事務所内に(顧問企業の従業員の)マイナンバーを「持たずに管理」したまま、かつ「持たずに申告」まで済ませられます。企業としても、本人確認書類などのコピーも含めてクラウドへ保管することで「持たずに管理」することができます。
まとめますと、これからマイナンバーへの対応を考えている中小企業にとっては、このようなクラウド型サービスで「顧問先の企業と連携してマイナンバー対策を進めている税理士と連携する」ことが、安心・安全なマイナンバー対応への近道といえます。
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