産地の声が届く接客、大型チェーンでも 四十八漁場を変えたITの力(後編)(1/2 ページ)
今日、届いた魚にはどんなストーリーがあり、どうやって食べるとおいしいのか――。産地と店が楽しみながら食材情報を共有し、メニュー紹介に生かしている四十八漁場。今や情報共有に欠かせないという企業向けSNSを、この店ではどうやって定着させたのか。
今や日常的なコミュニケーションツールとして定着しつつあるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が、企業の情報共有ツールとして注目を集めている。
「塚田農場」「四十八漁場(よんぱちぎょじょう)」などの飲食チェーンを展開するエー・ピーカンパニーは、この企業向けSNSをいち早く取り入れた1社。企業向けSNSのアカウントをアルバイトスタッフにも提供している四十八漁場は、産地と店との情報共有が進み、それが“漁師の声が伝わる”メニュー紹介につながったという。
接客現場のSNS活用について聞いた前編に続き、後編では、現場に新たなツールを定着させるための工夫と、すぐには売上アップにつながらないツールを導入につなげるコツについて、エー・ピーカンパニー管理本部経営管理部で部長を務める鈴木翔太さんに聞いた。
新たなツールを定着させるには“クラスの人気者”を伝道者に
―― 社内SNSの運用を成功させるために、工夫していることはありますか。
鈴木翔太さん(以下、鈴木氏) “誰に何を届けるか”という情報の交通整理には気を遣っています。全てのスタッフに情報を流す場合はタイムラインに投稿し、特定の人たちに情報を送る場合はグループを作ってメッセージを送ります。
個人に関係ない情報がタイムラインに増え過ぎるのはよくないですが、一方でグループばかり作ってメッセージを送っていると、個人が会社全体の動きを把握できなくなってしまう。タイムラインとグループ……この2つの場所の情報バランスについては、慎重に見ていく必要があります。
本来なら、情報の内容と発信する単位が適切であれば、どんなツールでも正確なコミュニケーションが取れると思います。いくらツール自体が便利でも、間違った情報発信の仕方をしていたら意味がない。なので、使い手に対するITリテラシーの向上には継続的に努めていく必要がありますね。
―― 新たなITツールは定着するまでに時間がかかったり、使うことに抵抗を覚える人がいたりすると思います。四十八漁場ではSNSがスムーズに定着しましたか。
関連記事
- 産地の声が届く接客、大型チェーンでも 四十八漁場を変えたITの力(前編)
産地や食材の情報を伝えて、もっと食を楽しんでほしい――。そんなおもてなしで注目を集めるのが魚料理の「四十八漁場」だ。大型チェーン店では難しい、“現場のリアルを伝える接客”を可能にしたのは、あるITツールのおかげだった。 - 隣の席にいるような臨場感をLyncのWeb会議で ダンクソフト、テレワーク成功の秘けつ
人手不足でテレワークの導入を検討する企業が増える中、最大のハードルといわれるのが“コミュニケーション”の問題だ。この課題を高価な機材を使うことなく、工夫と知恵で乗り越えたのがダンクソフト。手を伸ばせば届くような臨場感を、どうやって実現したのか。 - DEAN & DELUCAの商品選びに磨きをかける“社内SNS”の力
“食のセレクトショップ”として名高いDEAN & DELUCA。代表を務める横川氏は、生活雑貨を扱う店舗も展開している。両社のシナジー効果を高めるために選んだ社内SNSと、その効果は。 - 在宅ワーカーたちのつながり、線から面へ YPPの連帯感を強めたチャットツールの力
人手不足でテレワークやワークシェアリングが注目を集める中、“離れた場所にいるワーカー同士のコミュニケーション”という課題が浮上している。10年前からこの問題に取り組んできたYPPの解決法は。 - なぜ「メールじゃもう、ダメ」なのか――企業向けSNSが注目されるワケ
「メールよりLINEやFacebookでしょ」――個人間ではすでに浸透しているこうした流れが、企業にも押し寄せている。なぜ今、企業向けSNSが注目されているのか、その背景に迫った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.