IT部門が知っておきたい、10月の「マイナンバー制度変更」のポイント:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(3/3 ページ)
この10月、はやくも幾つかの改正が発表されたマイナンバー制度。実はこれ、企業の負担を軽くしてくれるものなのです。何がどう変わるのか、さっそくチェックしてみましょう。
紙を使わないマイナンバー収集方法を考える
紙を使わずにマイナンバーを収集する理想の方法は、従業員がスマートフォンなどで本人と扶養親族のマイナンバーを入力し、通知カードなどの本人確認書類もスマートフォンで撮影して画像データとしてアップロードできるようなクラウド型のマイナンバー管理サービスを利用することです。本人確認も、企業の担当者がPCの画面上で行えるので、通知カードのコピーを受け渡す必要もなくなります。
このような方法が取れない場合は、企業の担当者が従業員から通知カードなどの提示を受け、その場でPCから入力することです。通知カードなどは従業員に持ち帰ってもらい、後々の確認のために本人確認書類を残しておきたい場合は、コピーをとって紙で保管するのではなく、画像データとして保管する方法を考えましょう。
マイナンバー記載書類の提出は、電子申告・申請で
ここで、マイナンバーを記載した書類の提出方法をあらためて確認してみましょう。国税の申告と申請はe-Tax(イータックス:国税電子申告・納税システム)、地方税の申告と申請はeLTAX(エルタックス:地方税ポータルシステム)、社会保障分野はe-Gov(イーガブ)電子申請システムといったように、電子データのまま申告・申請できる仕組みが既に整っています。
紙での提出は、書類の持ち込みと郵送のいずれも紛失や漏えいのリスクは避けられません。これらの電子申告・申請に対応したシステムを利用して、電子データのまま提出することをお勧めします。
今回取り上げた10月以降の大きな変更は、政府が目指す“世界最先端IT国家の実現”に向け、企業のマイナンバー運用においてもITの活用を促すための施策とみることができます。中小企業もこの流れに乗って、マイナンバーの取り扱いにはITを有効活用し、マイナンバー入りの紙の書類は持たない、作らない運用を目指すことをお勧めします。
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