ガリガリ君の赤城乳業、クラウドでスピード経営へ 老舗の挑戦(後編)(2/2 ページ)
われわれは小さい会社だから、全社でスピード経営を目指している――。そんな思いからグループウェアのクラウド化に踏み切った老舗アイスメーカーの赤城乳業。導入後の効果はいかに。
“脱メール”で情報伝達のムダが半減
情報伝達のムダが解消されたのも大きな効果で、それに貢献したのがSkype for Businessだ。相手が在席しているかどうかが一目で分かるので、電話と違って確実に相手がつかまる上、メールのようにお決まりの定型文を書く必要がない。
「ちょっと確認したいことがあると、すぐメッセージを送って確認できますし、夜間や休日に連絡していいかどうか迷ったときでも、プレゼンスが分かれば話しかけることができます」(吉橋氏)
ほかにもコミュニケーションの活性化や時間のロス軽減につながる効果があったという。
「本社と支店の距離が近くなった、という効果もあります。支店はこれまで社内で“孤島”といわれており、連絡が取りづらかったのですが、Office 365を入れてからは距離感が変わりました。もう1つは、社内メールの送信数が減ったこと。今までは、何でもメールで連絡していましたが、ポータルサイトを有効活用したり、Skypeのメッセージを送るようになってからはかなりの量を削減できていると思います」(吉橋氏)
新たに取り組んでいるのは、本社と取引先とのオンライン会議だ。赤城乳業は本社が埼玉県深谷市にあり、都内からだと訪問が半日がかりになることもある。そんな企業の1社からSkypeを使ったオンライン会議を提案され、今ではデスクトップ共有ツールを使ったオンライン会議が定着しているという。
7つの課題が解決、今後の目標は“ローカルデータゼロ”
1月にOffice 365を導入して以来、赤城乳業が抱えていた課題は全てクリアされたという。全社員に情報を伝えるツールがないという問題は、Office 365のアカウントを全社員に配布し、ポータルサイトを立ち上げたことで解決。PCを持ち歩かないと必要な情報にアクセスできないという問題も、iPhoneやタブレットからの閲覧に対応したことでクリアになった。
1000個近くが乱立していたデータベースは、ポータルサイトの立ち上げ時に整理され、使い勝手も向上。ワークスペースの自由度が高いことに伴う情報の偏りも、ポータルサイトへの情報集約で解消されたという。
今後は、オンラインストレージサービス「OneDrive」の活用で「ローカルデータゼロ」を目指したいと吉橋氏。まだ使っていない機能を使いこなして、さらに利益貢献につながるシステムに育てたいと話す。
「われわれは小さい会社だから、全社でスピード経営を目指している」(吉橋氏)――。そんな赤城乳業の“遊び心”が“スピード経営”と結びついたとき、どんな面白い製品が登場するのか。クラウドの効果が生み出す新製品に注目したい。
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