コレ1枚で分かる「2層ERP」:即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)
企業活動のグローバル化に伴って、経営資源もグローバルに統合管理することが求められるようになったいます。その方策として有効なのが「2層ERP」。今回は、「2層ERP」のニーズと導入効果について解説します。
グローバルな全体最適に有効な「2層ERP」
2層ERPとは、本社で稼働している大規模なERPシステムとは別に、各拠点の事業内容や規模に応じて最適なERPシステムを導入し、本社のERPシステムと一定のルールに基づいてデータの組み替えを行い、円滑なデータ連携を図ろうというものです。本社のERPシステムを「1st Tier ERP(またはコアERP、1層目のERP)システム」、各拠点のERPシステムを「2nd Tier ERPシステム(2層目のERP)」と呼びます。
各拠点は、それぞれの業務や規模に合わせてERPシステムを選定できるため、先に挙げたリスクを回避できます。加えて、本社は、各拠点のERPシステムのデータをコアERPシステムに容易に取り込めるようになり、グローバルな全体最適を実現しやすくなります。
各拠点のERPシステムは、コアERPシステムとのデータ連携が可能であれば、さまざまなERPパッケージから選定できます。ただ、本社からの運用支援や連携を効率よく行うために、できるだけ同一のものを採用する傾向にあるようです。
昨今、2nd Tier ERPシステムをクラウド版のERPシステムで導入しようという動きが増えています。クラウド版のERPシステムは、サーバ購入や運用管理要員の雇用のためのコストが掛からず、短期間で導入できます。
さらに、ビジネスの展開に合わせて機能や性能の伸縮を柔軟に行えるため、ビジネスの不確実性が高い海外拠点で導入するには最適な選択肢となっています。このような理由から、クラウドERPを利用した2層ERPの採用は、今後増えていくものと考えられます。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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