マイナンバー収集「先送り」「様子見」のワナ:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(1/3 ページ)
通知カードの配達遅れを受けて、一部で「様子見」傾向が出てきているというマイナンバー対策。収集や管理について「ここで気を緩めてはいけない理由」を確認しよう。
総務省が当初、目安としていた2015年11月中には完了しなかったマイナンバーの通知。初回配達は2015年12月16日までに終了したこと(通知カードの印刷漏れがあった地域は除く)が日本郵便から発表されました。
ただし、これもあくまで初回配達であり、不在で再配達する場合はもっと遅くなります。また、この中から、既に500万通が市区町村に返送されたと報じられたことを考えると、約1割の人がマイナンバーの通知カードを受け取れないまま年を越したと予想されます。
こうしたなか、企業のマイナンバー収集に向けた対応状況はどうなっているのでしょうか? 一般財団法人労務行政研究所が2015年12月9日に公表した「緊急調査 企業のマイナンバー対応状況アンケート」では、調査時点(2015年11月11〜18日)での企業の「マイナンバーの収集に向けた事務の対応状況」の調査結果を以下のような図に示しています。
これによると、「対応はほぼ完了しており、後はマイナンバーを収集するだけ」が39.6%、「対応中で、収集に向けた各種整備を進めている」が59.2%となり、98.8%の企業が、マイナンバー通知カードの配達の遅れの影響は受けつつも、2016年1月からのマイナンバーの本格利用に向けて準備を進めていることが分かります。ただし、この調査対象企業は大規模な企業が多いため、従業員数が少ない中小企業の準備状況はこれよりも遅れているのが実際と思われます。
こうした準備を進めてきた企業でも、マイナンバー通知カードの配達遅れはいかんともしがたいため、2015年内に必要なマイナンバー全てを集めてしまうのは難しいと判断し、2016年に持ち越しているようです。
それでも既に収集準備を整えていた企業や税理士事務所は、マイナンバーが届いた従業員などから順次収集を進めるなど、マイナンバー対応は着々と進んでいます。
その一方で、通知カードの配達遅れを受けて、「実際にマイナンバーを記載する書類を作成するまでに、必要なマイナンバーを取得すればいいのだから、慌てて2015年のうちに収集する必要はない」といった論調の記事も見受けられるようになってきました。
そうしたなかで、マイナンバー収集に向けた安全管理措置の整備やシステムの選択など対応準備が十分進んでいない中小企業や税理士事務所などでは、従業員などのマイナンバーを本格的に利用するのは2016年の年末調整時期になることから、「当面、様子見しよう」というような傾向もでてきています。
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