マイナンバー収集「先送り」「様子見」のワナ:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(3/3 ページ)
通知カードの配達遅れを受けて、一部で「様子見」傾向が出てきているというマイナンバー対策。収集や管理について「ここで気を緩めてはいけない理由」を確認しよう。
2016年早々にマイナンバーが必要な手続きは?
2015年11月中旬、総務省の「地方税分野におけるマイナンバーの利用」サイトが更新され、個人番号・法人番号の記載開始時期が公表されました。このなかで、固定資産税に関して減価償却資産について申告する「償却資産申告書」が、2016年1月1日以後の申告から適用されることが分かりました。
この「償却資産申告書」は、事業者が事業に使用している減価償却資産について毎年1月1日現在の所有状況を1月末日(2016年は1月31日が日曜日のため2月1日)までに市区町村に申告するため作成するものです。要は、この1月に作成・提出することになるこの「償却資産申告書」から「個人番号又は法人番号」の記載が必要になり、事業者が法人の場合は法人番号を、個人の場合はマイナンバーを記載することになります。
中小企業や個人事業主の場合、法人税や所得税の申告に密接に関係する減価償却資産の管理を税理士事務所に委託しているケースが多いことから、この「償却資産申告書」は税理士事務所が作成・提出していることが多いのが実情です。
この償却資産申告書に1月からマイナンバーの記載が必要となったことから、これまで源泉所得税関連を優先して、関与している中小企業の従業員などのマイナンバーを、通知カードが届いた従業員から順次収集していた税理士事務所では、ここにきて、個人事業主のマイナンバーもあわせて収集できるように体制を整え、収集作業を進める必要がでてきました。
この償却資産申告書、番号記載の対象が事業者のみとはいえ、マイナンバー制度施行後はじめてマイナンバーや法人番号が記載される書類が、一時期に集中して大量に作成・提出されることになります。この1月は、この償却資産申告書が市区町村に提出されるまでのプロセスで、マイナンバーの取り扱いがスムーズに行われるのかという点に注目したいと思います。
講師:中尾健一(なかお・けんいち)氏
アカウンティング・サース・ジャパン株式会社 取締役。1982年日本デジタル研究所(JDL)入社。日本の会計事務所のコンピュータ化を30年以上に渡りソフトウェア企画面から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システムを企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。2015年4月に発足したクラウドマイナンバー事業における「マイナンバーエバンジェリスト」として、中小企業の財務を担う税理士の視点から、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
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