例えば私が明日、この世に存在しなくなったら:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
銃乱射事件の容疑者が持っていたiPhoneのロックを解除するか否かの議論が注目を集めましたが、同じロック解除の話でも私が気になったのは、「死んだ息子のiPhoneに残っている写真を見たいからロックを解除してほしい」という親の訴えでした。
考えてみれば、ある意味、私は自宅の「IT管理者」なので、モバイル端末だけでなく、家の中にあるルーターのパスワードや、NAS内にあるさまざまな管理パスワードも私しか把握していません。自分に何か起こったら、これらのデータも一瞬で無意味なものになってしまう可能性があります。
IT遺言書が必要な時代に
それを考えると、まずは自宅にある機器のIDやパスワードをメモした「IT遺言書」的なものが早急に必要になるのかもしれません。これを見ておけば、家の中にあるさまざまなIT機器にアクセスはできるようになる、というレベルのものです。
問題はこれをどうやって保管するかという手段ですが、自分のパスワードを覚えるのも精いっぱいなはずなので、これこそ、手書きのメモで残すくらいしかないでしょう(ちなみに以前ほんのちょっと触れた「1Password for Family」では、家族間で共有できる“鍵束”を作ることができ、わが家ではそれを使おうと思っています)。
その他、SNSは何か1つでもお知らせができれば、万が一のときにも安心でしょう。これはFacebookの機能を使っています。もし何かあったときにアカウントの管理を依頼できる機能がありますので、これを家族に指定しました。わが家でこれをいきなり指定したときには「縁起でもない!」と怒られましたが……。
ITの力で何を残せるのか
万が一、何らかの事故に巻き込まれたら……という思考実験のもと、今、できそうなことを列挙してみました。ただし、これは本当に最低限のことです。今後ITがもっと進化していったら、こんな事務的なものではない何かを残せる世界になるのではないか――とも思っています。
例えば、AIが人の性格や記憶までも引き継ぐことができ、個性を残すことができたら。もしかしたら、数十年後の世界では「死」の意味がもうちょっと変わるのかもしれません。
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