漏らさずしっかりガードするための「マイナンバーQ&A」(前編)(1/2 ページ)
2016年の1月からスタートしたマイナンバー制度。政府の方針の変化もあり、まだまだ広く世の中に周知されているとは言い難いマイナンバーの取り扱いについて、Q&A形式で紹介します。前編ではおさらいをかねた「マイナンバーの基礎知識」と「マイナンバーの収集」を解説します。
2016年の1月からスタートしたマイナンバー制度ですが、政府の方針が少しずつ変化していることもあり、まだまだ広く世の中に周知されているとは言い難い状況です。中小企業のマイナンバー担当者の中にも、疑問を抱えている人がいまだ多いという状況を踏まえ、マイナンバーで抱えがちな疑問を、Q&A形式でまとめてみました。
前編はおさらいをかねた「マイナンバーの基礎知識」と「マイナンバーの収集」、後編では情シスが知っておきたい「マイナンバーの管理」と「マイナンバーの活用」について解説します。
マイナンバーの基礎知識
Q1:そもそも、マイナンバー制度ってどんな制度なのでしょう?
マイナンバーは、個人に付番される番号のことです。住民票を有する全ての人に対し、政府が1人1つの12桁の番号を付して、複数の機関に存在している個人の情報が、同じ人物の情報であることを確認するために利用されます。
その利用目的は、公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)となることです。そのための行政機関の用途は現在のところ限定的で、社会保障、税、災害対策の分野でのみ使われることになっていますが、本来の目的にそう範囲で利用範囲は拡大していく可能性があります。
Q2:マイナンバーは、誰がどんな場面で使いますか
上述の通り、マイナンバーは、国の行政機関や地方公共団体が税・社会保障・災害対策の分野でのみ利用されます。重要な個人情報ですので、利用の目的は番号法などの法律や条例で厳しく制限されています。
政府は具体的な利用範囲を以下のように示しています。
- 税:個人の税務申告書類や給与支払調書などにマイナンバーを記載
- 社会保険:年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付にマイナンバーを利用
- 災害対策:安否情報の速やかな収集・提供、避難所運営、他市町村へ移動した住民対応にマイナンバーを利用
税や社会保険に関する手続には、年末調整など、通常企業が従業員に係る書類を作成するものなどもあるため、企業がマイナンバーを必要書類に記載して手続きを行う場合もあります。そのために、従業員を一人でも雇用している中小企業や小規模事業者は、従業員からマイナンバーの提供を受け、個人番号関係事務実施者として、源泉徴収票や給与支払報告書などにマイナンバーを記載して税務署や地方自治体に提出しなければなりません。
Q3:マイナンバーを導入することで、なにかメリットはあるのでしょうか?
政府が示しているマイナンバーのメリットは、大きく3つあります。
1点目は、行政を効率化できるということ。これにより、人や財源を他の国民サービスに振り向けることが可能になります。
2点目は、社会保障・税に関する行政の手続で添付書類が削減されたり、将来的にはマイナポータルを通じた「お知らせサービス」などによる国民の利便性の向上も計画されています。
3点目は、所得をこれまで以上に正確に把握することで、きめ細やかな社会保障制度を設計し、公平・公正な社会を実現することです。
マイナンバーそのものの利用は、1点目の「行政の効率化」や3点目の「所得の正確な把握」に当面使われるとみておくと良いでしょう。一方、マイナンバーカードの民間利用や、将来的にマイナポータルなどは民間利用も検討されているので、ITの力を活用した2点目のメリットとして国民にとって利便性の高い社会の実現が目指されています。
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