漏らさずしっかりガードするための「マイナンバーQ&A」(後編)(2/2 ページ)
2016年の1月からスタートしたマイナンバー制度。政府の方針の変化もあり、まだまだ広く世の中に周知されているとは言い難いマイナンバーの取り扱いについて、Q&A形式で紹介します。後編では、情シスが知っておきたい「マイナンバーの管理」と「マイナンバーの活用」について解説します。
マイナンバーの活用
Q11:マイナンバーが漏えいしてしまった場合、変更はできますか
まれに勘違いされていることがありますが、女性が結婚して名字が変わった場合なども、マイナンバーは同じものを使い続けることとなっています。
生涯に1度だけ付番され、原則変わることがないのがマイナンバーですが、マイナンバーが漏えいした場合は別です。漏えいしたマイナンバーが、不正に用いられる恐れがあると認められる際には、本人の申請又や市町村長の職権により変更することが可能です。
Q12:今後、マイナンバーの利用範囲は拡大するのでしょうか
現在のところ、マイナンバーそのものの利用範囲は、社会保障、税、災害対策に限定されています。これは法律や地方公共団体の条例で定められていることですが、そうした用途以外での利用については、法律の施行の状況などを勘案し、3年後くらいをめどに検討を進めていく旨、政府が見解を示しています。
ただし、マイナンバーカードやマイナポータルの利活用については、マイナンバーそのものを利用しない活用が可能であることから、随時民間での利活用が検討され、実際にマイナンバーカードについては民間での活用への歩みが既に始まっています。
マイナンバーの利用拡大に関するロードマップは、日本再興戦略やIT戦略でも公表されています。
Q13:将来的に、預貯金口座や医療情報にも付番が義務付けられるのでしょうか
預貯金口座の付番については、改正マイナンバー法により平成30年をめどに預貯金口座へのマイナンバーの付番が始まることが決まっています。
ただし、現時点ではあくまで任意のものとなっています。ただし、その後の経過をみて義務化も視野に入れた検討がなされることになっています。より「正確な所得把握」から給付と負担の公平化をはかるというマイナンバーの本来の目的にそったかたちで検討されるものと考えられ、どのような議論がされていくのか、経過を見守りたいところです。
医療情報との連携は、災害対策の面などからも利便性があると考えられているものの、個人のプライバシーに深くかかわる部分でもあることなどから、政府も慎重に検討を進めているようです。
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講師:中尾健一(なかお・けんいち)氏
アカウンティング・サース・ジャパン株式会社 取締役。1982年日本デジタル研究所(JDL)入社。日本の会計事務所のコンピュータ化を30年以上に渡りソフトウェア企画面から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システムを企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。2015年4月に発足したクラウドマイナンバー事業における「マイナンバーエバンジェリスト」として、中小企業の財務を担う税理士の視点から、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
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