「報告書、スマホで書いてもいいですか?」:女子ヘルプデスク今昔物語 第3話(2/3 ページ)
いよいよわたしが担当する新入社員研修が始まった。担当するのはMicrosoft Wordの使い方。新人もみんな使ったことがあるっていうし、楽勝楽勝……と思っていたのだけど、現実はそう甘くはなかったのだった。
新入社員: はい、いつもファイルをダブルクリックして開いていたので、ファイルを指定していただかないと……。
おお……! これには私のほうが驚いた。そうか、確かにファイルをダブルクリックすると、そのファイルを開くのに適切なアプリケーションをOSが勝手に選んで開いてくれる(というか、OSにそう設定されているわけなのだけど)。Wordを単独で起動したことがない、なんてことがあるのだ。ということは、彼らは新しい文書を「新規作成」したことがないのか?
新入社員: いえ。新規作成はフォルダを右クリックして「新規作成」から「Word 文書」を選んでました。
君、もしかしたら、そっちのほうが高度なワザだよ……少なくとも私はやったことがないぞ。いや待てよ。世の中の人たちはどうなんだろう。Wordを単独で起動して文書を新規作成する人と、フォルダを右クリックして「新規作成」から、Word文書を選ぶ人とどっちが多いのかしら。
わたし: PCのアプリって起動したことない? ゲームとかInternet Explorerとか。
新入社員: PCでゲームはしませんし、インターネットは画面のアイコンをダブルクリックして起動してました。
でたっ。Internet Explorerと「インターネット」をいっしょくたにする人。以前紹介にしたことがあるけれど、「インターネット」という言葉と「Webのブラウジング」という意味が、完全に同一視されてしまっているような気がする。
ということで、講座は最初から当初の計画から大きくズレた形で始まった。うーん、逆によかったかもしれないなあ。もし綿密に計画を立ててこの日を迎えてたら、計画通りにいかないことに頭が真っ白になっていたかもしれない。あまり計画を立ててなくてよかった(いいのか?)
その後も、研修は予定通りに進まなかった。Wordには行を中央寄せ(センタリング)や右寄せにする機能があるのに、それを使わずにスペースキーを押して(空白をたくさん入れて)位置取りをする新入社員が多かったからだ。えぇー。学生時代にセンタリングや右寄せを習ってないのか?
基本的な編集に関するコマンドボタンの説明はしない予定だったけど、そういうわけにもいかなくなった。フォントも適当に使っていたようで、「プロポーショナル体の文字を使うと文字の位置が微妙にずれていることがあるけれど、プロポーショナル体ではない文字を使えばすぐに位置が合うよ」という話には、なぜか半数以上の新入社員が感動していた。
そこ感動するところなんだ……。もっと早く知っていたらとぼやく新入社員もいたけどね。センタリングや右寄せのコマンドボタンを知っていた人でさえ、このプロポーショナル体によって引き起こされる微妙なすき間をスペースで位置合わせをしていたらしい。が、頑張ったね。せめてタブを利用しようよ……。何だかいつぞやの話を思い出すわ。
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