え、LINE世代は“文字化け”を知らない?:女子ヘルプデスク今昔物語 第5話(3/3 ページ)
私が担当する新入社員研修の2回目は、メールの書き方やマナーについて。別に彼らは電子メールというツール自体には抵抗感がなく、さくさくと研修が進んでいたのだが、ある1人の質問によって窮地に立たされたのだった。
機種依存文字って何ですか?
おっと、機種依存文字を知らないのか……。ん? もしかして半角カタカナ、全角カタカナも区別がついていない? うーん、どうしよう。
ちなみにメール本文で使用している文字コードの情報は、メールのヘッダに記録されている。例えばヘッダに「Content-Type: text/plain; charset="iso-2022-jp"」などと入っていれば、メール本文がJISコードで書かれていることになる。「Content-Type: text/plain; charset="UTF-8"」であればUnicodeだ。
使われている文字コードで規定されていない文字がメール本文にある場合は、メールの受け取り手がその文字を読めない可能性がある。最近はUTF-8が普及したから、かつて機種依存文字といわれていた文字の一部が解消されているけれど、油断はできない。
さて。機種依存文字の説明をするなら、この文字コードの話からしないといけないのか? もしかして2進法から? いやいや、さすがにそれは本筋から外れすぎでしょ。
わたし: えーと。PCで文字を扱うときは、それぞれの文字に背番号が付いていてね……。
せ、背番号? 自分の口から出てきたとはいえ、とんでもないたとえ話になったもんだ。背中に冷や汗をかきながら、この背番号なるものを使って文字コードの説明を乗り越えた。終わったときには、背番号をつけて42.195キロを走ったかのように(走ったことないけど)心臓がバクバクしていた。あ、背番号じゃなくてゼッケンか。
私って意外とハッタリがきくタイプなのかも。ただ、文字コードの説明の中で文字化けについてはとても理解が早かった。なにせ、彼らがよく経験しているからね。中には「そうだ。PCに絵文字を送ったら見えないからやめろって言われました。絵文字も機種依存文字なんですか?」と質問してくる人も。
うう、広い意味では機種依存、環境依存と言えなくもないけれど……何にせよ、文字が化けてうまく表示できないという経験をしてくれているのはありがたかった。でも、これもみんながLINEみたいなSNSでしか連絡しないようになったら通じない話になるのかしら。案外そうなる日も近いかも?
とはいえ、彼らはそういう過去の経験が知識と結び付くととてもうれしそうにしている。なるほど、経験と知識がつながるとより理解が深まるのか。ちょっと講座の進め方を考えてみよう。経験と結び付けること、経験させることが大事よね。ふふ、私も社内講師として成長……いやいや、これじゃ上司Aさんの思惑そのままじゃないか。
新入社員: すみません。メールでスタンプを送りたいんですけど、どうしたらいいんですか?
す、スタ? スタンプ? うーん、あれも一種の「環境依存文字(?)」なのかしら……。
関連記事
- 第4話:チャット文化の新入社員、ビジネスメールに異常アリ!?
初日の研修を終えてヘトヘトになっているわたし。しかし、それに追い打ちをかけるように支離滅裂な日報メールがどっさり。研修課も問題視しているようだけど、最近のIT事情を考えれば“さもありなん”という感じでもあり……? - 第3話:「報告書、スマホで書いてもいいですか?」
いよいよわたしが担当する新入社員研修が始まった。担当するのはMicrosoft Wordの使い方。新人もみんな使ったことがあるっていうし、楽勝楽勝……と思っていたのだけど、現実はそう甘くはなかったのだった。 - 第2話:今年の新人は「Windows 95」とほぼ同い年!
突然、新人研修で登壇することになってしまったわたし。どこから準備を始めよう……と悩んでいたら、何とも悲しい(?)事実に気付いてしまったのだった。 - 第1話:LINEで遅刻を連絡する新人、これはアリ? ナシ?
今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修で登壇することになってしまったのだった……。一体ヘルプデスクに何をやれっていうの? - 連載:女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.