Excelの操作、覚えなくてもググればOK?:女子ヘルプデスク今昔物語 第6話(2/3 ページ)
私が担当する新入社員研修の3回目、テーマはExcel。デジタルネイティブ世代だからリテラシーは高いと思っていたのだが……その期待は見事に裏切られるのであった。でもこの問題って新入社員だけの話じゃないのかも。
電卓で入力した数値をExcelで入力って……
新入社員: あの……。
わたし: はい? 何か分からないところがあるのかな?
新入社員: いいえあの、すみません。今日は電卓を持ってきていないんですが……。
わたし: え?
新入社員: 電卓の代わりにスマートフォンのアプリを使ってもいいですか?
わたし: なんですと!?
言った。本当に言った。「なんですと!?」って。人間、予期せぬ出来事に遭遇すると、自分でもびっくりするようなことを口走るものだとよく分かった。
わたし: いやいや、Excelを使うんだから電卓はいらないのよ……。
新入社員: え!?
さすがに、新入社員は「なんですと!?」とは言わないなぁ。言わないか。詳しく話を聞くと、大学時代は合計値やら平均値やらは全て電卓で計算し、その計算結果をセルに入力していたのだそうだ。うわー、お疲れさまです。じゃなくて、計算式入れようよ……。
わたし: ほら、先頭に「=」を入れたら式を入れることができるのよ。こうしたら――ほら、Excelが勝手に計算してくれるでしょ。
計算式(ただの足し算なんだけど)を入力してEnterキーを押すと、式を入力したセルに計算結果が表示される。質問した本人だけでなく、一部の人から「おぉー」という声が上がった。これは2、3人いるぞ……。本当に? ひとまずフォローしておこう。
わたし: 表計算ソフトってね、表の中に計算式を入れると自動的に計算してくれるんだよ。
この説明はまずかった(まずいとは思ってもみなかったけれど)。新入社員にとって「分からないこと」を無駄に増やした、つまり、一部の新入社員に「表計算ソフト」というExcelとは別のソフトが登場したと思われてしまったのだ。ここは「Excelってね……」と言えばよかったのに。
新入社員A: 表計算ソフトってなに?
新入社員B: さぁ……Excelは知っているけれど、表計算ソフトってのは知らないなぁ。
そんな新入社員たちの会話を聞いたときには、本当にびっくりした。この時点で「デジタルネイティブな人たちにITリテラシーを教えるのは簡単。FAQもあるし、これでヘルプデスクの仕事が楽になる」という私の考えは、“現実”の前に脆くも崩れ去った。
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