どうしたら“頼りになる専門家チーム”が育つのか 大阪ガスの河本氏に聞いてみた:情シス“ニュータイプ“の時代(2/2 ページ)
AIやIoTといった言葉がメディアを賑わし、こうしたトレンド技術をビジネスに生かそうと考える企業が増えている。大阪ガスのデータサイエンティスト、河本氏は、こんな時こそ技術畑で育ってビジネスも分かる人間が必要だと話す。
AIの時代にこそ、技術畑で育ってビジネスも分かる人間が必要
現在、大阪大学で「意思決定とデータ科学」という講義も担当している河本さんは、技術が分かる人間がビジネスの現場で活躍できるようになるには、大学教育を工夫する余地があるとも考えている。
「数学が得意でも、数学の世界に閉じこもってしまうのはもったいない。数学が好きで、いかに現実の世界に活用できるかということにワクワクするような、そんな人が増えてくるといいですよね。だから私の講義では、『皆さんが勉強しているデータ分析はこういう風に役に立つんですよ。最終的にはビジネスの意思決定を変えるものなんですよ』ということを伝えるようにしています」(同)
最近はAIやIoTといった言葉がメディアを賑わし、それらをビジネスに活用しようと考えるのは必ずしも技術に明るい人ばかりではない。しかし河本さんは、そんな時代だからこそ技術の分かる人間のニーズが高まると考えている。
「今、IoTや人工知能で何でも解決できるんじゃないかと考えてしまう風潮がありますが、それは幻想に過ぎません。きちんと技術を理解し、自社でどう使えるのかという“目利き”をしないと、具体的な話は進まないですし、下手なやり方をすれば『やっても仕方ない』という結果に至ってしまうかもしれません。そういう意味でも、自社のビジネスを理解し、技術の目利きをできる人材を育てることはとても大切なのです」
実績をあげて信頼されること、そしてそのような成果を出せる人材を育てることが大事だというと、卵が先か鶏が先かという話になりそうだ。だが、河本さんの話は、ITの力で自社のビジネスに貢献したいと考える情シスに、マネジャーやメンバーといったそれぞれの立場でできることのヒントを与えてくれるのではないだろうか。
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