第15回 これからクラウド導入する際の注意点、お金と使い方の関係:データで戦う企業のためのIT処方箋(2/3 ページ)
「使うIT」の代表がクラウドです。AWSやAzureなどさまざまな事業者がサービスを提供していますが、どうやって選ぶとよいのでしょうか。今回はデータが増え続ける中で、「持つIT」と違うところや注意すべきところ、選定時のキーポイントを説明します。
以上に説明した通り、クラウドの特徴は「リソースが自由に使える、変更できる」「使わなければ費用が発生しない」ということです。これを生かして、例えば、CPUなどなどのリソースが多過ぎれば減らす、使わないときは止める、といった「運用」をクラウドに合わせて検討し、使いながらチューニングしていくことで、コストパフォーマンスを改善していけます。
「持つIT」では、リソースをどう有効活用するのかを「導入前」に検討し、設計します。導入後は、効率化を図りながら利用を続けます。効果測定は次回の更改時の参考にします。
それに対して「使うIT」のクラウドでは、ある程度の事前設計は必要ですが、注目すべきは「導入後」になります。利用状況を測定して検討、変更を継続するということがが、クラウド活用に必要なアプローチ方法です。
なお、このアプローチを「持つIT」に活用すると、プライベートクラウドになります。プライベートクラウドでは、第4回や第5回で紹介した「SDI」「SDS」といったソフトウェア定義インフラの活用で、クラウドと同様のメリットを実現できます。主に大企業向けですが、昔はデータセンターでしかできなかった効果がユーザー企業でも実現できるということは、覚えておいて損のない情報です。
データをクラウド上に展開すること自体が大きな課題に
クラウドについて、リソースとしては使い方を考えて活用することで、コストパフォーマンスをよくしていけると説明しました。それでは「データ管理」という観点から、もう少し掘り下げてみます。
システムを完全に新規でクラウド上へ構築する場合は、注意すべき点が少ないのですが、ある程度の規模になると、今あるシステムからの移行を考えなければいけなくなります。
Webサーバや各種業務システムのフロントサーバなど、CPUや通信などリソースを使うもののデータ量が少ないシステムであれば、ネットワークの転送遅延以外はあまり問題がありません。またアーカイブデータのように、いったん作成されたら後は更新がないものなら送信してしまえばいいだけなので、クラウドに持っていくにしろ、活用するにしろ、前述のネットワーク転送量のコストを除けば問題は少ないでしょう。
一方、業務アプリケーションの一部で動作するデータベースやBI、解析といった、データ量が多く、かつ、更新があるシステムの場合、データのやりとりが問題になります。
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