「ワークスタイル改革」なしに企業の成長はない? 企業がこぞって取り組む理由:Weekly Memo(2/2 ページ)
富士通と日本マイクロソフトが「グローバルコミュニケーション基盤」の普及促進に向けて連携強化を図った。その内容には、企業におけるデジタルトランスフォーメーションの進め方のヒントがあった。
ワークスタイル変革から始めるデジタルトランスフォーメーション
ワークスタイル変革とデジタルトランスフォーメーションはどんな関係があるのか――。ここまでお読みいただいた読者の中にはそう疑問に思われた方もいるかもしれない。実は今回、筆者が取り上げたいテーマはその関係性にある。
「ワークスタイル変革を切り口として、企業全体のデジタルトランスフォーメーションにつながる提案をどんどん行っていきたい」
阪井氏と平野氏は会見で異口同音にこう話した。どういう意味か。そのヒントは阪井氏が会見の冒頭で説明した「デジタルトランスフォーメーションの目的」の中にあった。
同氏は企業におけるデジタルトランスフォーメーションの目的として、モノの販売からサービスの提供へといった「ビジネスモデルの変革」、従業員のエンパワーメントや自律的なオペレーションによる「事業の卓越性」、一人一人の顧客を深く理解して顧客経験価値の最大化を図る「顧客との親密性」、社内のインテリジェンスを活用して顧客やパートナーとの革新的な価値を共に創造する「商品の優位性」といった4つを挙げた。
そして、ワークスタイル変革はこの中で、事業の卓越性の一部である「従業員のエンパワーメント」、顧客との親密性の一部である「一人一人の顧客の深い理解」、商品の優位性の一部である「社内のインテリジェンスの活用」に効果を発揮するものだと説明した。つまり、ワークスタイル変革はデジタルトランスフォーメーションの要素の一部なのである。それはなんとなく分かっていたという声が少なくないかもしれないが、こうやってブレークダウンして考えてみると、次のアプローチの仕方も見えてくる。
そこで筆者がユーザー企業に提案したいのは、先の阪井氏と平野氏のコメントになぞらえると、「ワークスタイル変革を手始めに、自社のデジタルトランスフォーメーションに取り組む」というアプローチの仕方だ。ワークスタイル変革への取り組みだけでも相当なチャレンジだが、阪井氏が挙げたデジタルトランスフォーメーションの目的を自社用にもっとブレークダウンしてつくり上げ、それぞれの項目について進行スケジュールを明確にして“経営改革”として打ち出せば、従業員をはじめステークホルダーには非常に分かりやすく、従業員のやる気も湧いてくるのではないか。
その態勢づくりを含めて陣頭指揮を誰が執るのか。もちろん、それこそが経営者の仕事である。
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