IoTビジネスのアイデアが浮かばない そんな企業への処方箋:Weekly Memo(2/2 ページ)
IoTを活用したデジタルビジネスを行う上で重要なポイントは何か。NECがIoTプラットフォームの発表に際して自らの考え方を説明した。デジタルビジネスに関わるどの企業にも当てはまる内容といえそうだ。
経営者に期待したい「IoTの特性とビジネスの勘所の“化学反応”」
NECが体系立てた形でIoTプラットフォームを発表したのは今回が初めてだが、個々の産業に向けたIoTソリューションはかねて必要に応じて展開してきており、既に600件を超えるプロジェクトを手掛けてきたという。そして、それらのプロジェクトから得た経験をもとに、IoTを活用したデジタルビジネスを行う上で重要なポイントを「デジタルビジネスの要諦」としてまとめた。
同社が今回発表したIoTプラットフォームは、このデジタルビジネスの要諦がオペレーションにおいてのグランドデザインとなっている。その内容は、次の5つのポイントからなる。
1つ目は「仮説立案」。ビジネスのアウトカムを明確なモデルとしてシステム要件に組み込めることである。2つ目は「仮説検証」。モノやコトをデータとして捉え、知識・知恵のレベルに転換できる技術を使いこなすことである。3つ目は「スモールスタート」。素早く実証システムを立ち上げて、そのまま本番システムへの稼働に持ち込むことである。4つ目は「事業成長」。事業成長や環境変化に合わせて柔軟に拡張ができることである。5つ目は「堅牢化」。何よりもデジタルビジネスを安定して継続させることである。
図3は、それら5つのデジタルビジネスの要諦に求められるケーパビリティやビジネスインフラの特長を挙げたものである。それぞれの説明はここでは割愛するが、NECのIoTプラットフォームではこれらの要素がほぼ備わっているという。
NECが説くデジタルビジネスの要諦は、それぞれを見ていくと決して目新しいものではない。だが、こうしたステップごとに必要な要素を整理しながらコトを進めていくのは重要なことである。
このデジタルビジネスの要諦は、NEC自身がIoTを活用したデジタルビジネスを進めていくために導き出したものだが、これは今後どの企業にも当てはまる内容といえる。なぜならば、産業分野や規模が違っても、これからはどの企業も自分たちなりのデジタルビジネスを手掛けていかなければ生き残れない時代に入っていくからである。
ただし、1つ指摘しておきたいのは、何事も仮説立案から始まるということである。つまり、「IoTを活用してこんなことをしたい」というアイデアが必要だ。そのためにはまず「IoTを活用するとはどういうことか」を知らなくてはならない。これは必ずしも技術論ではない。筆者は「IoTの特性とビジネスの勘所を“化学反応”させる」ことだと考えている。ビジネスの勘所は、それこそ経営者が一番長けているはずだ。「うちもIoTを活用せよ」とIT部門などに丸投げするのではなく、経営者自らがアイデアをどんどん出してもらいたいものである。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- “もの売りからサービス提供への転換”がIoTの本質、でも、どうやって?
IoTの活用によって企業のビジネスはどのように変わるのか。それを踏まえて企業はIoTにどう取り組み始めればよいのか。この疑問についてPwCの話を聞く機会があったので、それを基に考察してみたい。 - 今のままでは使いものにならない―― IoTの課題とIIJの取り組み
IoTへの期待が高まる一方、その課題にも注目が集まっている。最大の課題は、数ミリ秒以内のほぼリアルタイムのレスポンスが求められること。IIJが新サービスの発表を機に掲げた、この課題への取り組みとは。 - NECのIoT基盤を確立、ソリューションの拡充も
NECは、IoT基盤「NEC the WISE IoT Platform」を確立し、このIoT基盤を用いたIoTソリューション群も拡充すると発表した。 - IoTや人工知能の新規事業を「失敗」させる極意
「IoTや人工知能を使って、うちでも何かできないのか」――。こんな話が経営者から降ってきたときに役立つ考え方と戦略立案に向けたアプローチを紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.