議論を呼ぶ「訂正できる」ブロックチェーン、そのメカニズムとは?:金融機関で検証進む(2/4 ページ)
アクセンチュアが開発を発表した「訂正できる」ブロックチェーン技術がビットコインのコミュニティーで議論を呼んでいる。同社では、閉じたパーミッション型ブロックチェーンの使い勝手を向上させるとともに、法制度への対応も果たすなど、金融機関らが活用する際のハードルを下げる技術だとしている。
企業間の“閉じたブロックチェーン”向けの技術
先に触れたように「訂正可能なブロックチェーン」は、特定の企業グループが参加する閉じたブロックチェーンである「パーミッション型ブロックチェーン」(コンソーシアムチェーンと呼ばれることもある)のための技術だ。
「ブロックチェーンにはパーミッションレス型、パーミッション型があるが、今回はパーミッション型の使い勝手を良くするための技術だ」とアクセンチュアで戦略コンサルティング本部エンタープライズアーキテクチャ&アプリケーション戦略マネジングディレクターを務める村上隆文氏は説明する。
改ざんがほぼ不可能であるブロックチェーンは、利害が対立する当事者同士が記録内容が信用できるところに大きな価値があるものの、現実の企業情報システムにブロックチェーンを応用する場合、過去の記録を一切削除できないと困るケースがあるという。
「不正取引が起きたときにそれを消せる機能がないと、業務を遂行できなくなる可能性がある」と金融サービス本部統括本部長の中野将志氏は話す。例えば、本来は記録されるべきではない、個人情報を誤って記録してしまうかもしれない。また、欧州で規定されている「忘れられる権利」により、ある条件を満たす過去の記録を削除しなければ、法令に違反するケースが出る可能性もある。アクセンチュアは、顧客へのヒアリングからそのようなニーズを察知したとしている。
もちろん、訂正機能が不正に使われてはブロックチェーンの意味がない。管理責任が明確な企業間のパーミッション型ブロックチェーンを前提としているのは、そのためだ。訂正した「跡」はブロックチェーンに残る。また訂正前のブロックを保管することも可能だ。容易に悪用できる技術というわけでは決してない。
「あくまで例外的な訂正のために使うもの。前提は(訂正機能を使うルールを定めた)ガバナンスモデルがあることだ」(アクセンチュア キャピタル・マーケッツ・ブロックチェーン専門チームでマネージングディレクターを務めるデイヴィッド・トリート氏)
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