業界初、資生堂が84インチ「Surface Hub」を導入した理由:ITの力で全国の社員をつなぐ(3/4 ページ)
資生堂が社員の多目的ワーキングスペースに84インチの「Surface Hub」を導入。同スペースを運営するのは「未来創造局」という部署だという。何だか「化粧品の老舗ブランド」という資生堂のイメージとは違うような……? 実際にどのようなニーズや効果があったのか、担当者に聞いてみた。
「これ、本当にいるの?」と言われた84インチ「Surface Hub」
PITの奥のスペースには、入り口よりもさらに大きな本棚があり、その中心に84インチのSurface Hubが設置されている。84インチのSurface Hubを導入したのは、化粧品業界では資生堂が初めてという。
Surface Hubは普段、社内情報サイトと未来創造局などの社員がキュレーションした動画が流れるオリジナルのアプリが表示されている。ミーティングに利用するのも自由で、ビジュアルの多い資料を大きく映してみんなで見たり、Skype for Businessを使って他のオフィスの社員と会話したりといったことに使われているそうだ。
Surface Hubの導入は未来創造局の発案で、グローバルICT部(IT部門)の中田さんに相談したという。
「この場所を作るにあたって、さまざまな情報を集めていたときに『Surface Hub』を知り、ぜひ使いたいという話になって日本マイクロソフトさんにお願いました。ホワイトボードやプロジェクターではなく、Skype for Businessが使えるSurface Hubならば、遠隔地の社員とこの場所をつなぐことができると考えました」(萩原さん)
プレゼンテーションとオンライン会議のためと考えると、高い買い物のようにも思えるが、未来創造局では、さまざまな用途で活用できそうという“ポテンシャルの高さ”に魅力を感じたのだという。しかし、相談を受けた中田さんは、「IT部門の人をどう説得するか」が課題になった。
「グローバルICT部内では、『これ、本当にいるの?』という反応でした。ただ、それまでに未来創造局がいろいろな新しいことに取り組んでいる様子を見ていて、何か生まれるものがあるんじゃないかということで、周囲を説得し、導入のサポートをすることになりました」(中田さん)
もちろん、中田さん自身もSurface Hub導入のメリットは理解していた。Skypeが使えることや、2つのアプリを同時に表示できることの便利さに加え、映像の美しさやスタイラスペンでの手描き機能に注目していたという。
「これまで何度か、電子ホワイトボードの導入を検討したことがあったのですが、『やっぱりアナログにはかなわないよね』という結論に至っていました。でも、Surface Hubは今まで試した製品に比べて反応が早く、書き味が断然良くて、感動しました」(中田さん)
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