「データ分析ツールは“大人のオモチャ”のような存在であればいい」――カブドットコム 齋藤社長(3/4 ページ)
業務改善から新ビジネス創出まで、幅広い分野でデータ分析を駆使しているカブドットコム証券。データ分析ツールの利用者を増やし、データで物事を語る文化はどのようにして生まれたのか? 講演後のパネルディスカッションでその秘密が見えてきた。
「BIツールは“大人のオモチャ”のような存在であればいい」
寺澤: BIツールを使いこなすためには、「社員を選ぶこと」「トレーニングすること」「組織作り」がポイントのような気がしてきましたが、皆さんの社内でも実行できそうですか?
参加者D: 既に米国では、データ活用の文化が根付いているので、「日本でできない」ということはないと思います。しかし、日本だと現場がデータ分析を使っても、経営層が使わないということもあって、結果的に経営にデータを生かすことができないケースもあると思います。
齋藤氏: いや、経営層は意外とデータが好きだと思いますよ。まず使わせちゃうというのもアリです。私自身も、グループ会社の経営層にTableauを紹介したことがありますが、単にツールを渡すだけでは使わないので、ちゃんとサポートするスタッフを付けて丁寧に教えると、だんだんとやりたいことが出てきて質問し始める。そして自分一人でもやり始めるんですよ。
そうなると、BIツール全体としてできることが分かってくるので、他メンバーに対しても「こういう視点はどうだ?」と言い始めるわけです。彼らにとっては、一人でPDCAを回せるおもちゃで遊んでいるような感覚なんですよ。だから、僕としてはBIツールは“大人のオモチャ”のような存在であればいいと思っているんです。
参加者E: うちの会社では、BIのような高級なツールを使うどころか、Excelでデータを整理するのが精いっぱいで、半角と全角、住所の表記揺れなど、データの品質やデータの整理整頓、データの統合をすることが先決で、なかなか活用するところまでたどり着けないのです。私自身は管理部門に所属しており、データ活用をしたいと思ってはいるものの、どうすればいいのか分からないのが現状です。
齋藤氏: 個人的には管理部門の方がハマると思いますよ。営業部門やマーケティング部門は、あれやこれやと試行錯誤するのが好きな人の集まりなので、それほど変化を拒まないですが、管理部門は従来の方法が最適だと思って、なかなか変化しないケースも多いです。
そんな管理部門が変わるためには、「どう変わればいいか」と考えるのではなく、「変化すること」を先に決めてしまって、変化した後に、現在のやり方をどう当てはめるか、というアプローチを採ると、意外と新しいやり方に馴染んでしまう。BIツールを入れることをまず決めて、それをどう使おうというアプローチの方がうまくいくと思いますね。
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