分析モデルの開発、展開を機械学習で自動化 IBMが提供へ
高価値の企業データを元にした学習分析モデルの作成・トレーニングを自動化する機械学習プラットフォーム「IBM Machine Learning」を発表。「IBM z Systems」メインフレームから提供を開始する。
米IBMは現地時間2月15日、「IBM Watson」の機械学習のコアテクノロジーを利用したコグニティブプラットフォーム「IBM Machine Learning」を発表した。
IBM Machine Learningにより、プライベートクラウドで大量の分析モデルの作成、トレーニング、展開が自動化できるようになるという。従来はデータサイエンティストが1つの分析モデルを開発・テスト・再編成するのに数日から数週間かかる場合もあった作業を効率化できるとしている。
IBM Machine Learningは、Scala、Java、Pythonなどの各種言語や、「Apache SparkML」「TensorFlow」「H2O」といった主な機械学習フレームワーク、さまざまなトランザクションデータタイプをサポートしている。
また、アルゴリズムの採用を支援する「Cognitive Automation for Data Scientists」機能も提供。アルゴリズムが何をする必要があるのか、どのくらい迅速に結果を出す必要があるのかといったさまざまな状況を考慮しながら、複数の利用可能なアルゴリズムを検討し、データサイエンティストがニーズに合わせて適切なアルゴリズムを選択できるように支援するという。
IBM Machine Learningは、当初、同社のメインフレーム「z System」で利用できるようにするという。今後、「IBM POWER Systems」をはじめ、他のプラットフォーム向けにも提供を拡大する予定としている。
昨今の業務データ分析では、数カ月前のデータではなく、数日、数時間前に発生したデータを算入して傾向予測することが求められている。これに合わせて、データ解析モデルも変更する必要が出てくることがあるが、モデルの改変などに手間が掛かり、リアルタイムで正確な分析が追い付かないケースがあった。分析モデルの開発、展開に機械学習機能を利用し、自動化するソリューションは、今後、大きなトレンドになるに違いない。
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