「Build 2017」初日基調講演まとめ
Microsoftの開発者会議「Build 2017」の初日基調講演は「Visual Studio for Mac」など開発者向け発表が中心だったが、「Invoke」やPowerPointの同時通訳機能など、一般ユーザーにとっても興味深いデモも行われた。
米Microsoftは5月10日(現地時間)、米ワシントン州シアトルで年次開発者会議「Build 2017」を開催した。本稿では、初日の基調講演で発表された主なトピックを時系列で紹介する。約3時間にわたる基調講演の録画はこちらで視聴できる。
まず登場したサティア・ナデラCEOは若い日の自身の写真を表示し、Build 2017はMicrosoftとテクノロジーの過去、現在、将来について語る場だと説明した。
同氏は「私は楽天家だが、『1984』のようなディストピアが現実になる可能性もある」と語り、「われわれは人々をテクノロジーで支援しなければならない。テクノロジーは広範な影響を与えられるものだから、テクノロジーへの信頼を築く必要がある」などと語った。
Windows 10のアクティブユーザーは5億人
同氏はWindows Storeについての説明の中で、「Windows 10」のアクティブユーザー数が5億人であると語った。「Office 365」は1億人、「Cortana」は月間1億4000万人という。
「モバイルファースト、クラウドファースト」から「Intelligent CloudとIntelligent Edge」へ
ナデラ氏はこれまで、Microsoftの戦略を「モバイル第一、クラウド第一」と語ってきたが、新たに「Intelligent CloudとIntelligent Edge」という構想を披露した。マルチデバイス、AI、サーバレスという3つのキーワードを挙げ、「これからの3日間で、この戦略シフトについて紹介していく」と語った。
「Azure IoT Edge」
WindowsとLinuxで稼働するクロスプラットフォームのランタイム「Azure IoT Edge」が発表された。クラウドの機能をIoT端末にリモートで動かせる。
職場でのAI活用のデモ
ネットワークカメラとクラウド上のAI機能を使って職場の安全を守るシステムのデモが行われた。例えば危険物が床に落ちていたり、認証されていない従業員が入室しようとするとアラートが表示される。
Cortana搭載「Invoke」のデモ
次は生活の中でのAIによる生産性支援のデモ。8日に発表されたスマートスピーカー「Invoke」が登場し、スケジュールの確認やデータを車に転送する命令し、ステージ上の車でその活用方法が紹介された。
「Outlook 2016」に統合された「Microsoft Teams」のデモも行われた。
技術の可能性を見せる「The Emma」
ステージに再登場したナデラ氏が、テクノロジーの可能性と責任について語り、パーキンソン病で手が震えるグラフィックデザイナーのために震えを安定させ、手で文字や図を描けるようにする端末を開発したエンジニアの動画を披露した。
このプロトタイプ端末はデザイナーの名前をとって「The Emma」と名付けられており、動画の後にエンジニアとデザイナーが登壇してスタンディングオベーションとなった。
「Azure Cloud Shell」
「Bash」のコマンドラインで「Microsoft Azure」を操作する「Azure Cloud Shell」が発表された。詳細はこちら。
「Visual Studio for Mac」正式版リリース
昨年11月に発表された「Visual Studio for Mac」の正式版がリリースされた。既にWebサイトから無料でダウンロードできる。
「Azure Cosmos DB」
「Azure Cosmos DB」は大規模なNoSQLデータベース。ナデラ氏の語った「サーバレス」の一端を担う技術だ。詳細はこちら。
Microsoft AI and Research GroupによるAIデモ
最後にMicrosoft AI and Research Groupの責任者、ハリー・シャム氏が登壇し、同社のAIの取り組み全般について語った。
その中で、「PowerPoint」向けのプレゼンテーションの翻訳プラグインが発表された。60以上の国語をサポートし、リアルタイムでプレゼンテーションの内容を“通訳”する。異なる言語で視聴している人からの質問も逆に翻訳される。デモではスペイン語のプレゼンがリアルタイムで(シャム氏のために)中国語に翻訳された。
Build 2017の2日目の基調講演にはテリー・マイヤソン氏が登壇するので、「Windows 10」やMRなどの内容になるだろう。
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