APIで社内、そして世界とつながる――リクルートのAI活用、そのキーマンに迫る(3/4 ページ)
自社サービスにAIを積極的に導入しているリクルートだが、その活用を推進する部署がリクルートテクノロジーズにある。彼らがどのようにして業務部門と連携しているのか。そのカギの1つに「API」があるという。
人間関係と自らの役割をはみ出す姿勢がイノベーションを生む
技術者のアイデアを実際に役立つものにする秘訣(ひけつ)は、現場の担当者と意識をすり合わせることにあるようだ。ビッグデータプロダクト開発グループのマネジャーである石川信行さんは次のように話す。
「9年ほど会社にいるので、過去の案件などを通じて、いろんな部署とのつながりがあります。こちらから何か新しいソリューションを提案するときは、まず新しい技術に興味がありそうな人を捕まえて話しますね。逆に事業部側でやりたいことがあれば、僕のところに相談が来ます。なので、提案の機会を得るのに苦労することはあまりありません。
案件を進めていくときに、『これを入れると何ができて、事業として何がうれしいんだっけ?』という共通認識を作るところが難しい部分ですね。ここがしっかりしていないと、期待値と導入結果にズレが生じてしまいます」
人工知能といえど、人間が行った作業、つまりミスも含まれる内容を元に学習する限り、100%の精度は保証できないものだが、そんな期待を持たれてしまうこともある。こうした誤解を正しつつ、事業部側が求める効果と丁寧にすり合わせていかないと、“期待外れ”になってしまう。ここでIT部門と事業担当者の役割分担にこだわりすぎるとうまくいかず、それを避けるためには役割をはみ出してコミットする姿勢が求められるという。
「このソリューションを入れるときのKPIを何にするか、といったことはもちろん事業側の人が一番分かっているわけですが、それをうまく引き出すように、僕らも積極的に動きます。プロジェクトをやる以上は成功しないと意味がない。そのためには、役割をはみ出してコミットすることはいとわないですね」(石川さん)
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