認証の未来は“耳の穴”にあり? 「AirPods」の意外な可能性:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
久々に“デバイスが生活を変える”という体験を味わった「AirPods」。セキュリティの未来も、ここにありそうな予感がします。
常に耳に入っているからこそ、次世代AirPodsに欲しい機能
久しぶりに素晴らしい製品だと思ったAirPodsは、いまだに品薄なようです。ここまで人気なら、次の製品にも素晴らしい機能が追加されることを期待したいところ。個人的にはぜひ「ノイズキャンセリング機能」が欲しいところですが、それよりも欲しいのは、Apple Watchで一番便利だった「自動ログイン機能」です。
AirPodsは“常に耳に入っていることが前提の製品”で、個人に近い場所にあります。ならばこれを使うことで、個人を認証できれば便利なはず。そういう技術が存在しないのかと思って調べてみると、なんと、「耳の穴の形を音で識別することで、バイオメトリクス個人認証を行う技術」が、NECと長岡技術科学大学によって開発されていました。
これは、イヤフォンから音を出し、その反響を収集することで個人特有の音響特性を測定し、99%以上の精度で個人を特定するという技術。99%であれば、スマートフォンのロック解除くらいならば許容できる割合ではないかと思います。これがあれば、AirPodsが「鍵」となり、自然な認証ができそうな気がします。こういう分野は、今も日本が得意としているのかもしれませんね。
スマートウォッチの話題は一巡して、結局スポーツ用途くらいに落ち着きそうな雰囲気になってしまいました。しかし、ウェアラブルデバイスの可能性はまだまだあるはず。手首の次の主戦場が「耳」になる日は来るでしょうか? 個人的にはとても期待しています。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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