小学校のテスト結果をAIで分析、最大6万種類の個別教材を提供 DNPから
DNPは、小学校のテストの結果をクラウドでAI分析し、能力や特性に合った個別教材を提供するサービスを開始。個別教材は、紙教材かタブレット端末向けのデジタル教材で提供する。
大日本印刷(DNP)は7月18日、小学校で月1〜2回の頻度で実施しているテスト(単元、期末テスト)の結果をDNPのクラウド上のシステムで自動的に分析し、児童の能力や特性に合った個別教材を提供するサービスを、2017年9月より開始すると発表した。既に奈良県奈良市の全市立小学校43校における4年生の授業で採用が決定しているという。
現在、小学校で実施されている多くのテストは、基本を重視した取り組みやすい問題を中心に作成されており、児童の能力や特性を計測することが困難だったほか、若手教員に対する支援と指導力の向上策が求められているという課題もあった。
今回DNPは、評価と指導の一体化に力点を置き、テスト実施後に、クラウドシステムでテストの回答内容を自動的に分析し、個々の児童の能力や特性に合った個別教材を短期間(3日程度)で提供するサービスを開始する。
同サービスでは、採点後、テスト用紙をスキャニングし、そのデータをクラウドシステムに送付すると、結果をAIで自動的に分析。各問の正誤データから個々の児童の能力や特性を把握し、それに合った教材を提供する。
例えば、算数の場合、従来の教員による作業では、1回のテストで数段階の復習教材を用意するのが限界だったのに対し、同システムを利用することで、1回のテストにつき最大約6万通りの個別教材を提供できるという。
能力・特性別の復習教材は、紙教材かタブレット端末向けのデジタル教材のいずれかを選択できる。また、教員向けの学習管理機能を備え、学校やクラスごとの平均正答率、個別問題の配布や活用状況、能力や特性の分布、児童が回答までに至った過程(不注意、勘違い、偶然による正答の可能性)を確認できるため、児童の学習におけるモチベーションを高めつつ、より適切な指導を行えるという。
DNPでは今後、2017年度中に奈良市以外の自治体での導入に向けた実証、タブレット端末向けのデジタル復習教材を提供する実証も計画。テストの結果だけではなく、授業や宿題などへの取り組み状況といった情報もデータとして蓄積、分析することで、学習指導への活用を目指すとしている。
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