地方創生のカギはデジタル産業革命にあり NEC執行役員の石橋氏(2/2 ページ)
さまざまな課題を抱える西日本の地方都市は、ITの力で再生できるのか。NEC 社会公共ビジネスユニット 西日本担当執行役員の石橋研二氏に聞いた。
7県のチームワークで地方創生
――地方都市を活性化させるために、各地でどんな取り組みが進んでいるのでしょうか
石橋氏:私の担当エリアは24府県なのですが、新幹線が開通した地域はやはり元気ですね。ほかの地域は知事さんや市長さん、自治体の方々や金融機関、国の出先機関が連携して元気になるための方法をいろいろと模索しています。そのなかでも瀬戸内海を囲む7県が集まって、一緒に商品やサービス、観光スポットの価値を高めていこうと取り組んでいる「せとうちDMO」は興味深いですね。自分たちでは当たり前すぎてなかなか気付かない“地元の観光資源の価値”を他の県の人たちに見いだしてもらうなど、新たな発見につながる施策を次々と打ちだしています。NECもITによる下支えやアイデア出しなどでご一緒しているんです。
DMOに参加して分かったのは、課題解決のプロセスや方法が変わってきていることですね。これまでは、お客さまの課題に対して解決策を提示する形のやりとりをしてきましたが、最近では、“お客さま自身も答えが分からない”課題が増えています。
そうした時には、私たちがお客さまの業務を学んだ上で、互いの視点からアイデアを出し、一緒に議論しながら解決策を考えていくような手法をとることも増えています。
こうした背景から、私たちのDMOへの関わり方もさまざまなパターンがあるんです。国からの補助金誘致の支援で人を出すこともあれば、サービスの価値を上げるためにITで何ができるかを提案することもある、といった具合です。
こうした知見を得て共創の取り組みも進んでおり、品川と関西に新技術を展示する場と共創ルームを開設して、お客さまと一緒に課題解決をしようというチャレンジを始めています。
いくつかプロジェクトもスタートしており、ダイキン工業とは、AIやIoTを使ってエアコンの風を受ける人の感情を研究し、それによってどんな形で生産性を高められるのか、といったことを一緒に考えているんです。
――最近は自治体や商工会議所が持っているデータを使った地域活性化にも注目が集まっています
これから私たちが提案しようとしているのが、自治体のIoTの基盤です。欧州でIoTを使ったごみ収集の実証実験を行ったのですが、日本でも既に実証実験を希望する自治体が出てきています。
実証実験はスペインのサンタンデールで行ったもので、人手が不足する中、センサーを使っていかにごみの収集を効率化できるかを検証しました。ごみ箱にセンサーをつけ、どれくらいたまったかというデータを収集すれば、効率的な収集の仕方をプランニングできるようになるでしょう。
IoTのツールで現場を可視化し、分析や検討にAIを使い、最後に分析結果をどのような形で現実世界に反映したらいいかを、データを元に検討できるようなプラットフォームを構築していきます。
――これからの西日本はITの力でどう変わりますか
地域や企業の皆さまが元気になるよう、課題解決のお手伝いをしたいと思っています。仕事柄、知事の方々にお目にかかる機会が多いのですが、皆さん、ものすごく努力をしていらっしゃいます。私たちは世界一の顔認証技術をはじめとする先端技術を磨き上げ、地域にフィードバックしていきたいですね。
(取材協力:NEC)
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