コレ1枚で分かる「シンクライアントと仮想化技術」:即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)
仮想化アーキテクチャに欠かせない「シンクライアント」について、ネットワーク資源の有効活用と、端末やデータの運用管理の効率化を実現する「デスクトップの仮想化」と「アプリケーションの仮想化」と合わせて解説します。
デスクトップとアプリケーションの仮想化でシンクライアントが実現
デスクトップ仮想化とアプリケーション仮装化ではともに、手もとのPCにOSやアプリケーションを導入する必要はありません。そのため、ネットワークに接続でき、画面表示や入出力操作の機能を動かせるだけの必要最小限のメモリやプロセッサでも十分に機能します。また、プログラムや作成した文書などのデータをPC側に保管する必要がないので、ストレージも不要です。
そこで、デスクトップ仮想化とアプリケーション仮装化を利用することを前提に、機能を最小限に絞ったクライアントPCが作られました。これを「シンクライアント(Thin Client)」といいます。Thinとは、「痩せた・薄い」という意味です。ちなみに、通常のPCを「ファットクライアント(Fat Client、「太った」クライアント)」と呼ぶことがあります。
最近では、タブレットやスマートフォンのアプリで、シンクライアントの機能を実現しているものも登場しています。
シンクライアントは、高い処理能力や大容量のストレージを搭載した一般的なPCに比べると、安価です。また、ユーザー個別の設定やアプリケーション、データは、サーバ側で管理するため、仮にシンクライアント本体が故障しても、復旧作業は必要なく、機器を代替するだけで作業を再開でき、ユーザーの管理負担が少なくて済みます。
また、シンクライアントにはストレージはなく、データは保管できないため、万が一盗難に遭っても、サーバに接続する手順を知られなければ、データが盗まれる危険はなく、セキュリティの観点からも安心です。
「シンクライアント」という語は、このような機能を絞り込んだPCの名称として使われていますが、「シンクライアントが利用できる仮想化方式」、つまり「デスクトップ仮想化とアプリケーション仮装化の総称」としても使われる場合もあります。
著者プロフィール:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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