2020年までに国内クラウド市場シェアでAWSを抜く――日本マイクロソフトの勝算は:Microsoft Focus(1/2 ページ)
「2020年までに、国内パブリッククラウド市場におけるリーディングシェアを獲得する」――。こんなチャレンジングな目標を掲げた日本マイクロソフトに勝算はあるのか。
「2020年までに、国内パブリッククラウド市場におけるリーディングシェアを獲得する」――。日本マイクロソフトの平野拓也社長が、こんなチャレンジングな目標を掲げた。2017年6月までにクラウドビジネスの売上高構成比を50%に高めるという目標をほぼ達成した同社が、次に掲げた新たなクラウドビジネスの目標だ。
クラウドビジネスの売上高構成比50%という目標値に対しては、47%と、わずか3%及ばず、平野社長も「インチキという声もあるが、これで良しとしたい」と、“ほぼ達成”を自ら容認してみせた。本来の目的である「クラウドビジネスをメインストリームにする」という成果を達成したという点では“ほぼ達成”でも意味がある。
だが今回、新たな目標に掲げた「リーディングシェア」は、“ほぼ達成”では意味がない。トップシェアではなく、リーディングシェアという表現が気になるが、やはり1位となることが、この目標のゴールとなる。
つまり、先行するAWS(Amazon Web Services)を捉えることができるかが鍵になる。
日本市場のクラウド成長率伸長の波に乗り、シェア倍増を狙う
2017年8月1日に行われた記者会見で、平野社長は初めて、国内パブリッククラウド市場におけるリーディングシェア獲得を公約してみせたが、具体的なシェア目標については明言していなかった。
そのあたりを改めて平野社長に聞いてみると、答えは、「最低でもシェア25%。できれば30%を目指したい」というものだった。
現在、日本マイクロソフトのパブリッククラウド市場におけるシェアは、調査会社によって差があるものの、12〜13%とみられている。
つまり、シェアを2倍以上に引き上げるという意欲的な計画だ。「クラウド市場全体が成長していることを考えると、売上高は2倍以上のペースで引き上げる必要がある」(平野社長)というわけだ。日本マイクロソフトにとっては、極めて高いハードルであることに間違いはない。
では、日本マイクロソフトにとって、新たな目標に向けた勝算はあるのか。
平野社長は、「日本において、『Azure』の3桁成長を2020年まで継続していきたい。また、『Office 365』は、多くの企業に導入されているが、現在の倍以上は導入いただけると見込んでいる」と意気込む。
日本マイクロソフトがクラウドビジネスで高い成長を見込むのには、いくつかの理由がある。
1つは、日本のクラウドビジネスの成長率が、海外の成長率を上回り始めたという点だ。
日本での具体的な成長率は明確にはしていないが、米本社が発表した2017年度第4四半期(2017年4〜6月)の業績では、Azureが前年同期比97%、Office 365が43%増、「Dynamics 365」が74%増という実績を公表しており、日本マイクロソフトは、これを上回る実績を達成しているようだ。
平野社長は、「数年前には、日本のクラウドビジネスの成長率は低かったが、2017年に入ってから、海外の成長率を日本が上回るようになった。日本のマーケットが、米国に比べて2、3年遅れで広がりをみせるというIT業界の典型的なパターンの中に、日本のクラウドビジネスが入ってきた。これが日本マイクロソフトのクラウドビジネスに対してポジティブな要素につながる」と説明。さらに、「日本は人口減という課題を抱えており、働き方改革やクラウドの活用が待ったなしの状況にある。これも、日本でのクラウドビジネスの成長に追い風になる」と続けた。
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